ゴールデンウィークの足音が聞こえてくる4月下旬。帰省や旅行の移動手段として、新幹線や特急の指定席は早くも「完売」の赤文字が並ぶ。だがこの熱狂の裏側で毎年のごとく勃発するのが、車内の「子供の泣き声」をめぐるドロ沼の論争だ。
一部の鉄道会社はGWなどの繁忙期限定で、子供連れだけが利用できる「お子様連れ専用車両」を導入。JR東海などは5月1日から6日限定で、一部の新幹線のぞみ号の12号車を「お子様連れ車両」に設定している。ただし、これ自体はこれまでも利用者には好評だったが、それゆえ「別の問題」も起きている。
交通機関のマナー問題に詳しい、旅行ライターの高島昌俊氏が指摘する。
「専用車両は予約が殺到し、すぐに満席となります。結局、一般の指定席しか確保できなかった親子連れが周囲に平伏しながら乗車し、他の乗客から舌打ちされるなど、肩身の狭い思いをしている。子供の泣き声や騒ぐ声に寛容な人は一定数いますが、そうではない人は少なくないからです」
鉄道会社が本腰を入れる「最新技術を駆使した防衛策」
この解消しがたい溝を埋めるべく、鉄道各社は最新技術を駆使した「防衛策」に本腰を入れ始めた。高島氏が続けて解説する。
「決して子供向けというわけではありませんが、車内モニターでアニメを流す鉄道会社がありますし、専用アプリから音声を聞かせることで、子供を飽きさせない試みも始まっています」
地獄のGW移動を「共存」で乗り切るためには、車両選びが重要になってくる。
「例えば山陽新幹線なら、一部の車両に設置されている個室や、多目的室に近い車両を狙うのが定石。ビジネス客が集中する『のぞみ』の1号車付近を避け、自由席に近い号車を選ぶだけでも、精神的なハードルは下がります。そして乗車にあたっては、ヘッドフォンやイヤホン、耳栓などの自衛手段を『当たり前のマナー』として用意しておくことをオススメします」(前出・高島氏)
GWの車内に流れるのは子供の泣き声か、それとも穏やかな春の眠りか。我々の「共存の知恵」が試されている。
(滝川与一)

