地上波テレビで中継されず、多くの野球ファンを落胆させた今年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)だが、これに国が動いた。
不倫スキャンダルで一躍、有名になった松本洋平文科相が4月24日の記者会見で、WBC主催者に対して「配慮」をお願いしたことを明かしたのだ。
「多くの国民が大会を観戦できるようにお願いした」
同時に、有識者会議を総務省と合同で設置することも発表している。
今大会はNetflixが日本国内で独占配信権を取得。中継制作に関わった日本テレビでさえ、ハイライト番組の放送には相当な「時差」をつけられていた。
アメリカでは有料配信でプロスポーツ中継を見ることが定着しているが、日本は2000年代前半まで巨人戦の地上波中継がナイター、デーゲーム問わずほぼ全試合あるなど、野球を観戦する=地上波テレビで見る、という習慣がついている人が40代以上に多い。
「日本時間の早朝から午前帯に放送するメジャーリーグ中継は、高齢者の視聴率が高い。彼らが課金して配信中継を見るのはやはりハードルが高かった、ということを国が認めた形です」(放送担当記者)
放映権料の高騰で民放局もNHKも「五輪から撤退」しかねない
ここまで国が力を入れるにはワケがあると、スポーツ中継関係者は言うのだ。
「WBCはもとより、今は当たり前のようにテレビ中継されている五輪も、2032年までは放映権を確保できていますが、それ以降は権料が高騰すれば民放テレビ局、NHKが撤退しかねない。イギリスなどで導入されている法律『ユニバーサル・アクセス権』を設けるかどうかの瀬戸際に立たされています」
ユニバーサルアクセス権とは、国民的スポーツイベントの有料独占放送を法律で規制し、誰もが無料放送で視聴できるようにするものだ。
「当然、お金がかかることなので、その場合は増税することも十分に考えられるでしょうし…」(前出・スポーツ中継関係者)
とにもかくにも、動き出したのは一歩前進だろう。

