多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す『セルフジャッジ』でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単だ」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。
そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。
今回は「タイムバイオレーション」についてです。
ダブルスの試合でポイント間を使いパートナーと作戦を立てていたら、「25秒以上過ぎているのでルール違反ですよ」と相手選手が腕時計のストップウォッチを見せてきました。このような場合、タイムバイオレーションは成立するのでしょうか。
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アウトオブプレーになった瞬間から、次のポイントの第1サービスを打つまでの時間は最長25秒となります。この25秒を過ぎてもプレーを再開できなければ、タイムバイオレーションとなります。
ただし、「25秒を過ぎましたよ」とストップウォッチを示してきた相手が直接タイムバイオレーションを課すことはできません。こうした場合はレフェリーかロービングアンパイア(セルフジャッジの試合会場を巡回している審判またはレフェリー)に来てもらい、しばらくゲームを見てもらったうえで判断が下されることになります。
これはフットフォールトのケースと同じです。こちらから見て明らかにフットフォールトをしていても、レシーバー側からコールすることはできません。その場合もレフェリーやロービングに注意して数ゲーム見てもらうほかありません。
また、相手が証拠として25秒を過ぎているストップウォッチをアンパイアに見せたとしても、それを見て判定することはありません。なぜなら、時間を計っていた人が何をしていたかわからないからです。
例えば、その人がサービスの構えに入っているのに相手が話をしてサービスが打てないのであれば問題ですが、果たしてその時どんな状況だったのか、後から来たレフェリーやロービングは現場を見ていないので判断できません。ゆえに「わかりました。ではこれからゲームを見ていますので続けてください」と判定は下さず様子を見てもらうことになります。
このようにプレーヤーが相手にタイムバイオレーションを科すことはできませんが、だからといって時間を守らないのはルール違反です。準備ができたら速やかに次のポイントに向けてプレーを始めてほしいものです。
解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。日本テニス協会理事。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2025年7月号より抜粋・再編集
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