
「すべてにおいて駆け引きですね」得点力だけではない…日本代表エースが磨きをかける“守備の妙技”。「今日は意識的に、前に行かなかった」【現地発】
フェイエノールトの上田綺世は4月26日のフローニンヘン戦で2ゴールを決め、チームの3-1の勝利に貢献。得点王争いを独走する背番号9はゴール数を25に伸ばした。
1-0リードの22分、上田は今季初のPKを決めた。
「PKについて特に話すことはありません。PK自身は好きです。駆け引きは得意だし、自分にとって特別な思いはなく、いつも通りです」
「特に話すことはない」と言った上田だが、“駆け引き”というキーワードからPKの話が膨らんでいった。
――今日のPKは“駆け引き”というより、左隅にコースを狙って“決め打ち”したようなPKだったと思います。
「でも駆け引きは存在してますから。PKの蹴り方には山ほど種類があります。僕も一回、いろいろ考えたことがありました。キーパーをギリギリまで見て蹴る選手もいれば、片方のコースに“決め打ち”する選手もいる。
“決め打ち”もひとつの駆け引きだと思うんです。例えばキーパーを見ながら蹴るように見せてかけて、すでに自分がコースを決めていたりする。自分が狙ったところに確実に蹴れる助走を取ることも、キーパーとの心理戦の一部です。ピンポイントで蹴ることもある意味駆け引きじゃないですか。キーパーもキッカーの意図を読まないといけない。どのような蹴り方をしても、実際には駆け引きが存在しています」
今季の上田はPKを蹴っていなかったため、フローニンヘンサイドからするとデータがない。そこもある意味、チーム同士の駆け引きと言えよう。
「すべてにおいて駆け引きですね」
67分、チームを3-1に導いた上田のゴールは、実況や解説者が「素晴らしいゴールだ」と唸ったもの。ゴールに背を向けパスを受けた上田は見事なターンでマークを外し、右隅に正確なシュートを蹴り込んだ。
「ああいうターンして打つシュートはイメージもあったし、ずっと狙っていました。ゴール前でシュートを打つスペースと、タイミングがうまく噛み合ったと思います」
前節のNEC戦では後半アディショナルタイムに失点し、1-1に終わったフェイエノールト。試合後の上田は「何度同じことを繰り返すのか。プロなんだからしっかり勝ってる試合を締めないと」とフラストレーションを吐き出した。フローニンヘン戦でも終盤、MFの稚拙なミスから失点を喫したものの、上田がコーナー付近でボールキープをするなど、フェイエノールトはしたたかにリードを守り切った。
「(ロビン・ファン・ペルシ)監督からもゲームの締め方について言われてました。 リスクを最小限に抑えて試合を終わらせることを意識づけする練習もしました。とはいえ今日もちょっと、どうなのかなという失点もありましたけれど(苦笑)。あそこ(自陣ゴール前でのMFのボールロスト)もシンプルにプレーして、リスクを極限まで減らして僕らはプレーしないといけない。そういうところの締め方は多少、課題がありますね。でも共通認識として試合の終わらせ方は意識していかないといけない。でも、僕からしたら意識することではないですけれどね」
日本代表の3月英国遠征、その後のフェイエノールトの戦績を書き出すと、下記の通りになる。
スコットランド 0-1 日本(渡辺剛45分間)
イングランド 0-1 日本 (上田67分間、渡辺90分間)
フォレンダム 0-0 フェイエノールト(上田フル出場、渡辺フル出場)
NEC 1-1 フェイエノールト(上田88分間、渡辺フル出場)
フェイエノールト 3-1 フローニンヘン(上田フル出場、渡辺74分間)
NEC戦の失点は後半アディショナルタイム7分に喫したもの。渡辺にとって、あとワンプレーで4試合連続クリーンシート、のはずだった。イングランド戦で上田の守備が光ったように、彼もまた日本代表とフェイエノールトの守備に貢献している。
「言われたこと(タスク)はちゃんとやってるつもりです」と上田。普段のフェイエノールトは前線からのプレッシングを狙っており、上田も味方に対して身振り手振りで“俺のプレスの動きに付いて来い!”と指示を出すが、フローニンヘン戦ではあまり前から守備に行かなかった。
「今日の相手はキーパーも上手だし、独特な動きをしてうちのフォーメーションを錯乱してきた。むしろ、自分たちが前から行かないほうが嫌そうでした。(フローニンヘンの攻撃は)相手に引かれるとあまり手数が無さそうと、僕は思いました。相手にスペースを与えてチャンスを作られないよう、意識的に、前に行かないようプレーしました。それでも、もうちょっとタイミングを見てプレスをかけても良かったかな。相手の嫌がることはできたと思います」
得点王争い2位のミカ・ホッズ(アヤックス、16得点)との差は9ゴール。残り3節しかないことから、上田の得点王は確実だ。同時に日本代表とフェイエノールトでの守備でも、今季の彼は“結果”を残している。
取材・文●中田 徹
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