2026年4月に公開されたこの映像が切り取っているのは、2024年の「Kimbo Sessions」だ。それでも古さを感じないのは、「Kimbo Sessions」が単なる招待制のセッションイベントではなく、いまのフリースキーにおける“進歩”の現場として機能しているからだろう。
「Kimbo Sessions」とは、スウェーデンのKläppenで毎春に開かれる招待型セッションとして、長く支持されてきたイベントだ。良いパークと良いクルー、そして勝敗のプレッシャーから解放された空気が、その核にある。
近年のコンペは高難度化と成熟によって、完成度の争いに収束しやすくなり、進歩が以前より見えにくくなった。
一方で「Kimbo Sessions」では、アイテムの使い方、ギャップやトランスファー、グラブの取り方や引っ張り方といった見せ方、当て込み、バターやジブの遊び方といった、それぞれのスタイルがセッションのなかで互いに触発されながら磨かれてゆく。
そこでは一部のトップだけができるトリックだけでなく、見る側にとっても“真似できそうな新しさ”のヒントが詰まっている。実際このイベントは競技とは別の方向で、創造性やスタイルを進歩させる場として高く評価されてきた。
この映像の面白さは、そうしたセッションの空気をBrady Perronが単なる記録映像としてではなく、自分の視点でさらに押し広げているところにある。Bradyはこれまでも「Kimbo Sessions」を撮ってきたが、ライダー出身の映像作家として、この場のなにがカッコいいのか、どこに新しさが宿るのかを捉える感覚が信頼できる。
カメラ自体を回転させるような実験的でクリエイティブなカットや、追走して撮るカメラマンのローアングルへのこだわりも織り込まれていて、撮り方そのものが現場の自由な空気を強調している。
コンペでは見出しにくくなったフリースタイルの新しさを、セッションと映像によってもう一度前に進める。それがよく表れた一本だ。
