現在開催中の男女テニスツアー公式戦「マドリード・オープン」で、原因不明のウイルス性胃腸炎、あるいは食中毒とみられる症状が広がり、複数の棄権者や体調不良者が出るなど影響が拡大している。
女子ではイガ・シフィオンテク(ポーランド/世界ランキング4位)が、アン・リー(アメリカ/同34位)との3回戦途中で棄権。試合後には食中毒の症状を訴えていた。さらにリュドミラ・サムソノワ(ロシア/同20位)やマディソン・キーズ(アメリカ/同17位)も体調不良で大会を離脱。ココ・ガウフ(アメリカ/3位)はソラーナ・シルステア(ルーマニア/同26位)との試合中に嘔吐しながらも勝利したが、次の4回戦で敗退している。
男子でも影響は広がっており、マリン・チリッチ(クロアチア/同51位)はジョアオ・フォンセカ(ブラジル/同31位)との2回戦を前にリタイア。チリッチは自身の症状について、次のように説明した。
「残念ながら食中毒になってしまった。一晩中回復に努めたが、身体は消耗しきっていて、試合に入れる状態ではなかった」
感染源を巡っては、選手間で「傷んだシュリンプ・タコス」を疑う噂も出ているが、大会側はこれを否定。米メディア『The Athletic』によれば、大会広報のラファエル・プラサ氏は「食事に問題はない。これは胃腸炎のウイルスであり、食べ物は全く問題ない」と説明している。
一方、ガウフは会見で「街でウイルスが広がり、それが選手にも及んだのだと思う。体調を崩していた選手のロッカーが自分の近くにあった」と語っており、発生源については依然として特定されていない。
こうした状況の中で、感染を回避しているのが世界ランク1位のヤニック・シナー(イタリア)だ。記者会見でシナーは、会場での滞在時間を極力減らすことが予防につながっている可能性を示唆し、次のように語っている。
「棄権が多いのは聞いている。僕はここに長く留まらないようにしている。試合の日は少し早めに来るけど、練習の日はかなり遅く来る。練習を終えたらすぐに離れる。これはどの大会でもやっていることだ。これがこの会場特有の問題なのかどうかはわからないけど、誰かが体調を崩せば起こり得ることではある。食堂やジムでは選手同士の距離も近いからね」
実際、他のトップ選手も同様に接触機会を減らすなど対策を取っている。女王のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)は、会場での滞在時間を短くし、食事も鶏胸肉や米、サラダといったシンプルな内容に限定していると明かす。
原因が特定されない中で、選手たちは食事や行動を制限しながら対応を迫られている。シナーが実践する接触機会を減らす行動は、現状で取り得る数少ない予防策の1つだろう。なお、会場周辺では例年になく花粉の飛散量が多いとされ、こちらも選手のコンディションに影響を与えている可能性が指摘されている。
構成●スマッシュ編集部
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