
巨大ザメの恐怖を描いた名作「ジョーズ」の誕生から半世紀。今やサメ映画はパニックものの1ジャンルとして定着し、その舞台も海から空、雪山、スーパーマーケット、はては宇宙へと拡大している。もはや「サメが登場すれば何でもアリ」というカオスな状況で、それこそがサメ映画がB級映画と呼ばれるゆえんであり、魅力でもある。BS12 トゥエルビ(BS222ch※全国無料)では「ゴールデン・サメ劇場 2026」と銘打って、5月2日(土)よりサメ映画5作品を5日連続放送する。正統派からZ級までが顔を並べる本特集は、サメ映画の面白さを知らない人の入門編にぴったり。本コラムが、“サメ映画沼”に足を踏み入れる一助となれば幸いである。
■ムキムキのサメ人間に緊迫感より笑いが先に立つ
サメ映画を語るうえで外せないのが、B級映画の雄として知られる映画会社アサイラムだ。アサイラム社の代表作の一つが、巨大竜巻に乗ってサメが襲来する「シャークネード」シリーズ。パロディやオマージュ系の作品も多い同社だが、時折とんでもないアイデアで唸らされるから気が抜けない。そんなわけだから、「ゴールデン・サメ劇場 2026」内の4作品がアサイラム社だと知って思わずニヤリとさせられた。
そんなアサイラム社のポテンシャルを存分に味わえるのが「ムーンシャーク」(2023)だ。本作に登場するのは、冷戦時代のソビエトが対米兵器として生み出した、サメと人間の融合体“ハイブリッドシャーク”。ムキムキのサメ人間が走り回る姿はあまりに衝撃的で、ストーリーが頭に入ってこないほど。月に不時着した宇宙飛行士たちがハイブリッドシャークと対峙する緊迫した場面でも、手に汗握るどころか笑いが出てしまう。
また、「PLANET OF SHARKS 鮫の惑星」(2016)では、「そう来たか!」とアイデアに脱帽させられる。舞台は温暖化が進み、大半が海となった近未来の地球。わずかに生き残った人類が生態系の頂点となったサメの標的となり、科学の力でサメに対抗しようとするサバイバルパニックだ。
登場するのは普通のサメだが、とにかく数がえげつない。ホオジロザメ、ハンマーヘッド、ノコギリザメなど、多種多様なサメが群れを成して迫る様子は壮観。桟橋に立つ人間をダイブして襲う、人間の頭だけを食らうといった見せ場もしっかり用意され、なかなかに見応えがある。
■“にわか批評家”を気取るのもまた楽しい
同じアサイラム社のサメ映画でも、「ザ・メガロドン」シリーズはかなり真面目な部類といえる。アメリカ海軍と古代ザメ・メガロドンの戦いを描いており、シリーズを重ねるごとにメガロドンの数も人を食う回数もスケールアップ。その中から、サブタイトルに惹かれて「ザ・メガロドン 怪獣大逆襲」(2022)を視聴してみた。
あらすじはこうだ。諜報活動のためサンディエゴ沖にいた中国の戦艦がメガロドンに襲われて沈没。アメリカ海軍の戦艦は唯一の生存者である博士を救助するが、中国海軍の戦艦が生存者の受け渡しと海域からの立ち退きを要求したことで、両国は緊張状態に。第三次大戦が勃発しかねない危機的状況の中、メガロドンの脅威が迫る。
両国海軍のヒリヒリする駆け引きと、迫り来るメガロドンの恐怖が同時進行するストーリーはなかなかにシリアスで悪くない。しいて言えばメガロドンの出番が少ないのが残念だが、クライマックスではしっかりと暴れてくれるのでぜひ最後まで見届けてもらいたい。
本作に対して辛辣な感想を抱く映画愛好家も多いようだが、サメ映画はツッコんでナンボ。「ちょっとCGが粗いな」「こうはならないだろ」と評論家気取りでツッコみながら、「ここは悪くないな」と見どころを探すのがサメ映画の作法だと筆者は思う。サメ映画はファンタジー。欠点ばかりに目を向けてこき下ろすのは野暮というものだ。

■フランス初のサメ映画はタイトルで“勝ち確”
ジャケ買いという言葉があるが、サメ映画も第一印象を大事にして観てみることをお勧めしたい。自分にフィットする作品に出会えれば大ラッキー、結果的にハズレを引いたとしても「いやー、しょうもなかった」と笑い飛ばせるはずだ。
そういう意味でフランス初のサメ映画「シャーク・ド・フランス」は、そそるタイトルを付けた時点で勝ち確と言える。ビーチ以外に見どころのない小さな町を、自転車ならぬサメがパニックに陥れる本作は、引退間近のオバさん憲兵を主人公に立てているのが斬新。ゆるい雰囲気で残酷なシーンもほぼないので、サメ映画初心者でも安心して観られるだろう。
BS12 トゥエルビでは「ゴールデン・サメ劇場 2026」と題して、5月2日(土)よりサメ映画5作品を放送。5月2日(土)夜6時より「ザ・メガロドン 怪獣大逆襲」、5月3日(日)夜6時30分より「ザ・メガロドン 大怪獣覚醒」、5月4日(月)夜6時30分より「シャーク・ド・フランス」、5月5日(火)夜18時10分より「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」、5月6日(水)夜6時より「ムーンシャーク」のラインナップとなっている。ゴールデンウィークに鑑賞してほしい。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)


