
7連敗で緊急の指揮官交代に揺れた浦和。川崎戦勝利に導いた田中達也暫定監督がもたらした変化とは
[J1百年構想リーグEAST第13節]浦和 2-0 川崎/4月29日/埼玉スタジアム2002
試合前日にマチェイ・スコルジャ監督と双方合意のうえでの、契約解除を発表し、クラブレジェンドである田中達也U-21チーム監督兼トップチームアシスタントコーチが百年構想リーグの終了まで暫定的に指揮を執ることになった浦和は、ホームで川崎と対戦。後半の2ゴールで“田中体制”の初陣を飾り、連敗を7で止めた。
泥沼の7連敗中であった浦和は、意地を見せるかのように、序盤からインテンシティ高く、主導権を握り、特に前半は試合を支配(ポゼッション率は69パーセントと31パーセント、シュート数は12本と2本[枠内シュートは3本と0本])。
ゴールをなかなか奪えずやきもきする展開も、54分にFKのこぼれ球をマテウス・サヴィオが蹴り込み、71分には投入されたばかりのFW小森飛絢が貴重な追加点をマーク。その後はピンチも迎えたが、采配がズバリ当たった田中暫定監督はこう試合を振り返った。
「試合開始からプラン通りに運べたと思います。前半、欲を言えばゴールが欲しかった。後半でセットプレーから1点を取れて、その後、変わった選手が追加点を入れてくれたので、その後はチームとしてはある程度、引きながら、川崎さんがそこは得意なことを知っているから、コンパクトさは選手に伝え続けました。結果的に2-0で勝てて良かったです」
準備期間がかなり限られたなかで、攻撃面で伝えたのは、ポジショニングやボールを前進させる部分だったという。
「攻撃のところで言えば、いつも行なっているポジションのローテーションがあり、それは継続しながら、ポジショニングをしっかり取るところを伝えました。
半年間、選手と一緒にいて、個人のストロングや、ゴール前でのアイデアを持っていたのは分かっていたので、僕は相手のアタッキングエリアについては、選手のストロングを出してくれとしか言っていません。こだわったのはミドルレンジまでどうやって安定して持っていくかで、それを選手に伝え、その結果、攻撃回数が増えて、クオリティが発揮されたのかなと思います。
安定してミドルレンジに入っていくところを僕はやりたかったので、そのためには自陣で安定してボールを持つ、そのポジショニングの配置は選手に伝えました」
また、守備面で強調したことも明かす。
「メンタル的にもだし、守備のところでも伝えたのは、味方の選手に勇気を持たせるようなプレッシングをしてくれと。メンタル的なところで言えば、恐れずに一歩前に出る。守備のところも重ねて選手には伝えました。
この状況(リードした終盤に押される)は予想していて、中1日にしかない状態で、どこからどこへのパスが取りどころなどそういう時間よりも、先ほど話したバックパスが入った時に、FWの選手が周りの選手に勇気をあたえるような一緒にプレスにいって良いんだという迫力を持ってくれと。それを伝えて、サイドハーフの選手などがウイングバックになっても良いと伝えたので、それは選手が選びながらやってくれました」
浦和の変化に関しては川崎の長谷部茂利監督も会見で言及していた。
「大きくは変えられないし、変わらないと思っていましたが、2つ、私のなかでは違ったなと感じました。ボールのつなぐところが少し違っていたなと。長いボールを少なく、入りは少しありましたが、そういうところが少し変わったのかなと。もうひとつは、相手チームのことであまり細かくはあれですが、8番(M・サヴィオ)、10番(中島翔哉)が、我々のサイドハーフの後ろで、ボールを受ける形を作ってきた。我々が少し困ったところだと思うし、彼らが上手く前進する、アタッキングサードにより良い形で入って来られる、しかもボールを持っている選手がキープレーヤーだというところ、浦和さんに分があったと思います」
そして経験豊富なGK西川周作も前任のスコルジャ監督の下でのサッカーも方向性は間違っていなかったことを語りながら、チームの変化も口にした。
「達也さんは時間がないなかで、一言、二言、僕らにすっと入る言葉をくれました。
非常に分かりやすかったです。ミーティングもシンプルでしたし、大事なポイントを3つくらい言って、あとは選手たちでやるという。達也さんも自分が試合中にできることはほんのちょっとだから、選手で話し合ってもやっていこうと、ポジティブな話をしてくれました。それをみんなもポジティブな方向に受け入れて、今日のように、自分たちで考えてできたと思います。
もどかしい気持ちと言いますか、(ここまで)やっていることは悪くない。でも結果で見れば、ここぞのところで負けてしまったり、失点してしまったり。特に70分以降に課題が、相手にボールを渡してしまったりするシーンがどうしても多かったので、ボールを握るところは、立ち位置が少し修正されていた面が大きかったと思います」
インテンシティ高く相手を飲み込み、手にした勝利は今後のチームの指針になるに違いない。気持ちの入った川崎戦のパフォーマンスはかなりポジティブに映った。
もっとも、同じ戦力で連敗を重ねてきたのは事実であり、まだ1試合を勝っただけである。これからはライバルたちの“田中体制”への対応も進んでくる。そうした状況でも連勝を重ねられるのか注目だ。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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