2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、4年以上が経過した現在もテニス界にしこりを残しており、ウクライナ国籍の選手がロシア国籍の選手と試合後恒例の握手を交わさない状況が多く見られる。ウクライナ出身の女子テニス選手マルタ・コスチュク(23歳/現世界ランキング23位)も、そのスタンスを貫いてきた1人だ。
しかしそんな彼女も、昨年3月末にロシアからオーストラリアへ国籍を変更した元8位のダリア・カサキナ(現75位)とは握手を交わしている。両者は昨年5月の「イタリア国際」(WTA1000)4回戦で対戦した際、試合後に健闘を称え合う姿を見せていた。それには、カサキナが国籍変更の理由の1つに反戦の意思を示していたことが関係しており、コスチュクも自身のSNSで「ロシアを“侵略者”と呼び、それに従った行動を取る選手は尊敬に値します」と支持を表明していた。
コスチュクは現地4月29日に行なわれた女子ツアー大会「ムチュア・マドリード・オープン」(スペイン・マドリード/クレーコート/WTA1000)の準々決勝で第13シードのリンダ・ノスコワ(チェコ/現13位)を7-6(1)、6-0で下してベスト4へ進出。現地30日に予定されている準決勝では、四大大会に次ぐグレードのWTA1000でラッキールーザー(欠場者に代わり予選敗者が本戦に繰り上がる措置)の選手として初の4強入りを果たした元21位のアナスタシア・ポタポワ(オーストリア/25歳)と対戦する。
既報の通りポタポワは昨年末にロシアからオーストリアへ国籍を変更。今季からはオーストリア人選手としてプレーしている。しかし、次戦で顔を合わせるコスチュクは、カサキナと同様に国籍を変えたポタポワとは握手をしない意向だ。その理由について、ノスコワ戦後のメディア対応で次のように語った。
「現時点で私が侵攻国出身選手の中で握手をする相手はダリアだけです。彼女は国籍を変えただけでなく、『戦争を支持しない』と公言し、それに関連した全てのことについても意思表示をしてくれました。私だけでなく他のウクライナ人選手たちも、彼女に対しては純粋に敬意を持って握手を交わしていると思います」
「一方で他に国籍を変えた選手はというと、誰1人として公に反戦を表明していない上に、ウクライナの人々を支持する発言もしていませんでした。私の中でそのスタンスが変わることはありません」
コスチュクとポタポワの一戦は、プレー内容はもちろん、試合後の両者の振る舞いにも注目が集まりそうだ。
文●中村光佑
【動画】コスチュクとポタポワがそれぞれ勝利したマドリードOP準々決勝ハイライト
【関連記事】ウクライナのコスチュクがサバレンカとの握手拒否で会場からブーイング!「正直驚いたし、恥ずべきこと」<SMASH>
【関連記事】ポタポワがロシアからオーストリアに国籍変更!「信じられないほど温かく迎え入れてくれて居心地の良い場所」<SMASH>

