
「プレミアや欧州1部からオファーがあった選手も…」英2部コベントリーはなぜ25年ぶりに昇格できたのか。日本人MFが語る“最大の要因” 来季は通用する?地元記者は現実的「フィジカルレベルは格段に上がる」【現地発】
「プレミアリーグはひとつレベルが抜けているのはわかっていることですし、たぶん来季は苦しいと思います。でも自分のサッカー人生において苦しい時間が来なかった時なんてない。そこをもがいて、もがいて乗り越えてきたので、次も大きな壁が現れてもチームとしても、個人としても乗り越えていく自信があるし、自分がどういうものを残せるのかが楽しみなんです」
チャンピオンシップ(イングランド2部)を制したコベントリーの優勝セレモニーのあと、プレスセンターに現れたMF坂元達裕に今季を総括する一言やプレミアリーグで戦う来季への想い、自身のサッカー人生におけるモットーなどがあれば書いて欲しいとお願いしたところ、出てきた言葉だ。
25年ぶりのプレミアリーグ昇格を決めたコベントリーで、坂元はレギュラーとしてチームを牽引した。
4月26日に行われた6位のレクサム戦とのホーム最終戦、坂元は肋骨の怪我で欠場。代わり右サイドハーフに入ったブランドン・トマス=アサンテは右サイドでタメをつくれず、周囲との連係にも難があって相手にとって大きな脅威にはなれず、不在の大きさを感じさせた。
日本のレフティは肋骨の怪我についてヒビが入っていると明かしたものの、「そこまで重傷じゃないです。もう走り始めていますし、もう少しで治ります。(原因は)相手のかかとが入って、前の骨がずれちゃったみたいな。よく分からないですけど」と説明。深刻な状況ではないようだ。
「個人的にはこういうラスト数試合の一番盛り上がる時に出られないのは悔いはあるけど、昇格をほぼ決められるところまでプレーできたのでよかったです。今まで僕はプロになってから優勝する経験がなかったので、30歳手前にしてやっと掴めた。しかもそれがプレミアにいけるトロフィーというところで本当に感慨深いですね」
今季、コベントリーが常に上位争いができた大きな要因が戦力の維持だろう。毎シーズン選手が頻繁に入れ替わるチャンピオンシップで、コベントリーは主力選手の流出が少なかった。
昨季に途中で就任したフランク・ランパード監督の指揮の下、素早い守備から攻撃にスイッチするスタイルを徹底した結果、第45節終了時点でリーグ最多の95得点、同最少の45失点。攻守両面で好パフォーマンスを維持した。
坂元もこう話す。
「チームメイトのなかにはプレミアのチームや欧州1部からオファーがあった選手もいたと耳にしましたが、スカウトの人が説得して残ってもらったのは大きい。それだけのクオリティの選手がうちにはいるということ。特に今季は、今まで感じたことないくらいクラブとしての団結力を感じました。ここのチームメイトはメンタルが強く、マイナスなことを言う選手がいない。それぞれ自分にしっかりフォーカスして、他人の責任にせず自分たちで改善しようとしている。優勝できた要因は他にもいろいろありますけど、それが大きいと思います」
今季の坂元の活躍は地元のジャーナリストも認めるところ。この日取材していた現地紙のフォトグラファーは、坂元をデザインしたオリジナルTシャツを着用して撮影に臨んでいたほどだ。
現地紙『Coventry Live』で長年コベントリーを取材しているアンディ・ターナー氏が「Lampard loves Tatsu.(ランパードはタツが大好きだ)」と評価するように坂元はランパード監督から絶大な信頼を得ている。
そのため、「プレミアに昇格してからもランパードは坂元にチャンスを与えることは間違いない」としつつも、「だが、プレミアのフィジカルレベルは格段に上がる。彼は1年目に背骨を折る大怪我をしたうえに、今季も数度怪我をしている。フィジカルが通用できるかが大きな課題だ。今夏には大きな補強をするだろうから、坂元の身体が軽すぎるようでは別の選手を使うことになっても驚きではない」と現実的な見方も示した。
例年、プレミアリーグに昇格したクラブがすぐに降格してしまう傾向があるが、来シーズンのコベントリーも例外ではない。事実、今季昇格したバーンリーはリーグ19位と残留に失敗。10年前にプレミアを制覇し、今季2部のレスター・シティは3部相当のリーグ1への降格が決定した。元プレミアリーグのクラブであったルートン・タウンも昨季、2部から3部に降格している。プレミアに昇格することも大きな苦労だが、残留し続けることもコベントリーのような昇格組にはそれ以上の苦労になるだろう。
坂元はプレミアの厳しさを理解しているからこそ、冒頭の言葉が出てきた。来季に向けて「プレミアの試合に出ることが楽しみ」と話しつつ、「(新戦力も入り)競争力が高まると思う。僕もしっかり食いついていけるようにしっかりと準備してやっていきたい」と想定される新たなライバルとの競争に向けて闘志を燃やしている様子だ。
そんな29歳の目を見ると、苦しいシーズンになったとしても彼ならきっと這い上がれるだろうと感じさせてくれる。プレミアでプレーする姿が今から楽しみだ。
取材・文●Shun Ide
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