日本でも軽量級ボクサーが「稼げる」時代になった。プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ、統一王者・井上尚弥とWBA、WBC、WBO同級1位・中谷潤人戦のペイ・パー・ビュー(PPV)の販売数が、ボクシングや格闘技を通じた全興行でトップとなったのだ。これまでの最高は53万件。それを超えたことになる。
PPVで稼ぎ出したのは30億円以上。チケットは最前列が1人33万円で、最低でも1万円だった。それも合わせると、この1試合で最低でも60億円を稼いだことになる。
この一戦のファイトマネーは「日本ボクシング最高額クラス」ということだけで金額は非公開だったが、
「井上が30億円、中谷は5億円前後」(ボクシング担当記者)
というのが相場だ。
ウハウハなのは両陣営だけではない。井上×中谷戦の舞台となった「東京ドーム」にとって、今後は国内のボクシング戦ビッグマッチは、1回で5000万円近い使用料が入るオイシイ興行になるからだ。
井上はこれで2012年10月にプロ転向後、33戦33勝。中谷戦は判定決着となったが、これまで27KO。世界戦のKO率は90%以上とすさまじい。
「軽量級でこれだけのKO率が高いのは井上ぐらい。だから世界でも稼げるボクサーになったわけです」(前出・ボクシング担当記者)
「井上×中谷」は再戦の可能性も
井上は現役引退もチラつく年齢(33歳)になったが、対戦相手を倒し続けることで、そうした声を一蹴している。
そもそも井上がプロ転向を決意した理由は「プロとはいいつつ、食えないボクサーがほとんど」だったこと。稼げる構図を作ったことは、とてつもなく大きい。
国内のプロボクサーの年収は、世界ランカーになれば違うが、90%近いボクサーが年収200万円以下。いつ大きなケガをしてもおかしくない状況の中、他に仕事を持ったり、アルバイトをかけ持ちしながら続けていたり。
とりわけ「軽量級は稼げない」が定説だった日本ボクシング界にあって、井上のここまでの歩みは大きな影響を与えている。
井上は引退後のプランに、所属ジムの大橋秀行会長の「後継」となることを示唆したが、ボクシング業界では世界と交渉できる「プロモーター」転身が期待されている。
一晩で60億円以上を稼ぎ出した「井上×中谷戦」は再戦の可能性が出てきた。いずれにせよ日本ボクシング界では、井上の大看板時代がしばらく続きそうだ。
(小田龍司)

