過去にはBリーグ・長崎ヴェルカと連携。離島の子どもたちのサポートも
2024年に長崎県の離島で実施された「B-RAVE ONE Remote Coaching」の様子。遠隔地からの指導も可能にバスケットボールに限らず、スポーツ全般において離島や過疎地では指導者不足や少子化などによりスポーツ教育の格差やチームの存続が難しいといった課題があった。そこでソフトバンクは自社のテクノロジーの力を使い、地域格差を解消し、環境に左右されることなく子どもたちがバスケットボールを学び楽しめる機会を提供するプロジェクトを計画。2024年にはBリーグの長崎ヴェルカと連携し、今回と同様にAIスマートコーチなどのDX技術を活用し、長崎県の離島に住む中学生にバスケットボールを楽しんでもらう「B-RAVE ONE Remote Coaching」を実施していた。そして今回、その実績が「生涯バスケ部」にも生かされることになった。
「『生涯バスケ部』は、年齢や地域、競技レベルを問わず“誰もがバスケを楽しめる社会”を目指す素晴らしいコンセプトです。当社もまた、『誰一人取り残さない』社会の実現に向けてテクノロジーを活用し、多様な人々に寄り添うことを大切にしており、そのビジョンに強く共感しました。ソフトバンクもテクノロジーを通じて、地域や世代の壁を越え、誰もがバスケに打ち込める環境づくりに貢献したいと考えています」(佐々木氏)
人生の中でバスケの接点を増やしていく、多様な企業との連携
photo by Shutterstock今後「生涯バスケ部」は第2弾、第3弾と続いていく予定だが、広告会社である博報堂ならではのネットワークを生かし、さまざまな業種のパートナーと既成概念にとらわれない取り組みをしていく予定だそうだ。
たとえば人材関連の企業をパートナーにして社会人向けの大会を開催できないか? 化粧品メーカーと組んでバスケットボール専用の商品を作ったらどうだろうか? 掃除関連の企業に協力してもらいモッパーのような裏方仕事に光を当てられないだろうか? など、生涯バスケ部の会議ではクライアントの業種が多岐に亘る博報堂ならではの構想が飛び交うという。
「今、多くの企業が社会課題に向き合っていますが、それは単なるボランティアやCSRのためではなく、その行為自体が次の競争力を生んだり、企業価値を上げたり、あるいはいずれ自社のサービスに還元されるだろうという、中長期的な視点を持っているからだと思います。ですから我々は、そうした企業の協力や理解を得ていくようなプロジェクトの設計というものも心がけています」(厚川氏)
実際第1弾のパートナーとなったソフトバンクも未来を見据えてこのプロジェクトに参加したという。
個人練習・遠隔指導をはじめ、スタッツ分析から的確なフィードバックを行ったり、憧れの選手のプレースタイルを研究したりなど、ソフトバンクのDX技術をフル活用して子どもたちをサポート(写真はイメージ)「部員不足など環境に恵まれない子どもたちにも新たな仲間や挑戦の機会が生まれ、将来的にはこのプロジェクトから全国大会に挑戦するようなチームが現れることを期待しています。本プロジェクトを通じてバスケットボール界をさらに盛り上げ、日本中がバスケであふれる未来に寄与できればと願っています」(佐々木氏)
バスケットボールはグローバルスポーツ。全国大会と言わず、将来、このプロジェクトから世界で活躍する選手が誕生する可能性も秘めている。
「バスケを通じて若いうちから国境を越えたコミュニケーションができるような機会、たとえば海外留学のようなチャンスも『生涯バスケ部』の中で作れたらいいなと思っています。ただ、スポーツで海外留学となると費用が高額になるので、たとえば費用面も含むサポート制度をつくれたらいいね、なんてことも話しています」(厚川氏)
博報堂の「生涯バスケ部」の関係者の多くがバスケットボール経験者だそう。バスケットボールを通して得たものがたくさんあるから、今度はその恩返しがしたいのだという。「生涯バスケ部」の取り組みはすぐに結果が出るものではないかもしれないが、これから蒔く種が、地域や経済の格差などを乗り越えて芽を出し、さまざまな花を咲かせるだろう。「生涯バスケ部」はそうした未来を創るスポーツの力の象徴のような取り組みなのではないだろうか。
text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
写真提供:「生涯バスケ部」プロジェクト事務局
