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黒島結菜「親としてできることはなんだろう」 出産や子育てを経験する中で感じた作品への思い<未来>

黒島結菜「親としてできることはなんだろう」 出産や子育てを経験する中で感じた作品への思い<未来>

黒島結菜
黒島結菜 / 撮影=MANAMI

湊かなえのベストセラー小説を瀬々敬久監督が映画化した「未来」。過酷な運命に翻弄される少女たちの姿を描く本作で、子供たちに寄り添おうと葛藤する教師・真唯子を演じた黒島結菜。役作りの裏側や、11年ぶりとなる瀬々組への参加、そしていまの黒島だからこそ感じる「未来」への希望について語った。

■「助けを求められない子供たち」という衝撃的な現実

本作は、虐待や貧困といった絶望の淵に立たされた子供たちを切実に描くと共に、一筋の希望を見出そうとあがく姿を衝撃的かつ繊細に活写する。

――2023年にオファーを受け、撮影までに自身の環境も変化していったと思いますが、作品への印象に変化はありましたか?

原作を読んで一番衝撃だったのは「そもそも助けを求められない子供たちが多くいる」という事実です。親自身も助けを求めているという複雑でどうしようもない現実を知り、深く考えさせられました。また、自分自身が出産や子育てを経験する中で、親としてできることは何だろうと、より切実に考えるようになりましたね。

――完成した作品をご覧になって、どのような感想を持ちましたか?

純粋に子供たちのエネルギーに感動しました。自分たちでどうにかしようとする強い決意が伝わってきて。私が演じた真唯子が先生として子供たちにできたことは多くなかったかもしれませんが、大人がどう関わるか以上に、子供自身が現実をどう受け止め、行動していくかが描かれていると感じました。大人が子供の解釈をコントロールすることはできないのだと、改めて気づかされました。

――本作への出演が決まった時の感想と、撮影に向けて準備したことを教えてください。

今この社会に必要なテーマを扱った作品だと感じました。本当に意味のある映画にしたいという思いが強く、1シーンずつ集中力を切らさず、大事に演じようと心に決めて現場に臨みました。

――今回演じられた「真唯子」という役を、どのように捉えて向き合いましたか?

真唯子は、相手役の子供たちや、北川景子さん演じる文乃、山崎七海さん演じる章子があってこそ成り立つ存在です。教師として子供たちとどう向き合うべきか、踏み込みすぎず離れすぎない距離感が非常に難しく、現場で何を感じるかを大切にしました。

■初の教師役「子供たちが私を教師にしてくれた」

――初めての教師役ということで、挑戦だと感じた部分はありましたか?

小学生や中学生という、大人に近づいていく繊細な時期の子供たちと接する役には不安もありました。小学校の先生をしている友人に話を聞くと、やはり難しい仕事だと言っていて。実際に演じてみて、子供であっても一人の人間同士として向き合わなければならないと痛感しましたし、子供たちが私を教師にしてくれたのだと感じています。

――瀬々敬久監督とは『ストレイヤーズ・クロニクル』以来、11年ぶりのタッグですね。

改めて瀬々さんの作品に参加できて本当に嬉しいです。当時は高校生で「お芝居とは何か」も分からない状態でしたが、瀬々さんの現場でお芝居を通じて気持ちが通じ合う感覚を初めて知りました。10年経ち、今回の現場でも役を通して多くの気持ちを伝え合えたシーンがあり、参加できて本当に良かったです。

――真唯子という役は、子供を救いたい一方で自分の無力さに葛藤する、観客に近い視点のキャラクターでしたね。

お芝居の中でも、助けたいという気持ちを伝えた相手から「関係ない」と拒絶され、自分の無力さに傷つくシーンがありました。それでも、もし何もしなかったらと考えれば、やはり行動すること自体に意味があるのだと思います。少しでも動くこと、そして「ここに味方がいる」と存在を知らせるだけでも、何かが変わるのではないか。そう信じて演じていました。

■現代社会にはびこる「無関心」への危惧

――この作品には「夢を持てない子供たち」が登場しますが、黒島さんご自身の子供時代はどうでしたか?

私は温かい環境の中で育ててもらい、元気いっぱいの子供時代を過ごしました。当時は飛行機が好きで「パイロットになって広い世界を見たい」という夢を持っていましたね。今の自分を想像していたわけではありませんが、新しいものを見たいという好奇心は強かったです。今の仕事も、なりたかったパイロット役を経験できたりと、いろいろな人生を疑似体験できるので、とても楽しいです。

――黒島さんは、子供の頃に抱いていた「未来」はどのようなものでしたか?

沖縄の家の近くに空港があったので、飛行機に乗って東京へ行くのが夢でした。10代の頃は東京がキラキラした場所に見えていて。実際に上京して10年ほど経ちましたが、今は地元の良さも改めて感じています。

――黒島さんが憧れていた東京は、作品でも描かれるような「無関心」が目立つ街でもあります。そのあたりはどう感じていますか?

東京は、口に出さないだけで助けを求めている人がたくさんいると感じます。以前、満員電車で明らかに体調が悪そうな高校生を見かけたのですが、周りの人は携帯ばかり見ていて、誰も席を譲ろうとしませんでした。デジタル化が進む世の中ですが、もっと周りの人の顔を見て、異変に気づけるようになりたいですね。

■自分の未来から「次世代の未来」を考える時期へ

――本作のタイトルでもある「未来」について、29歳となった今の黒島さんはどう捉えていますか?

10代の頃に思い描いていた「大人の未来」に、今まさに自分が立っているという不思議な感覚があります。だからこそ、ここから先の未来を具体的に想像するのは難しい。ただ、今の自分自身の未来よりも「子供たちの未来」をより強く考えるようになりました。

――ご自身の中に、視点の変化があったのですね。

そうですね。今の社会には絶望しそうになる瞬間もありますが、希望を見つけていきたい。子供たちの存在は希望そのものです。彼らがより良く、明るい未来を歩めるような社会を、私たち大人が責任を持って作っていかなければならない時期に来ているのだと感じています。

■現場で感じた共演者の熱量と、瀬々監督からの意外な指摘
黒島結菜
黒島結菜 / 撮影=MANAMI

――北川景子さん、山崎七海さんと共演された印象を教えてください。

北川さんの「何があっても自分の子供を守る」という強い意志には、圧倒されるものがありました。母親の強さを間近で感じ、教師として救いたいと思う私の役も、その熱量に引き出された部分が大きいです。山崎さんは言葉がなくても、目の奥から壮絶な経験が伝わってくるような目力が心に響きました。お二人の芝居があったからこそ、真唯子という役が完成したのだと思います。

――撮影現場での過ごし方や、監督とのエピソードはありますか?

重いテーマの作品なので、待ち時間はそれぞれが集中力を高めていて、交流はほとんどありませんでした。私は現場の空気が好きなので、機材や美術を眺めながら静かに座っていることが多かったです。瀬々監督からは「長女か末っ子か」と聞かれ、「長女です」と答えたら「気の強さはそこから来ているんだね」と言われて(笑)。自分でも気は強い方だと思いますが、役の変化に合わせて「もっと包容力を持って」という演出もいただきました。

――監督は黒島さんの「身体能力の高さ」も絶賛されていましたね。

無意識ですが、役ごとにカバンの持ち方や歩き方など、台本にない細かな動きでその人を表現したいとは常に思っています。現場にある小道具やセットを見て、「この役ならこう使うかな」と紐づけていく作業が好きなんです。

――最後に、読者へメッセージをお願いします。

誰かを思う気持ちや支えになってくれる存在が、人を救うのだと信じています。まずは身近な人を大切にすることが、良い未来を作る第一歩になる。この作品が、そんなことを考えるきっかけになればうれしいです。

※「山崎七海」の「崎」は正しくは「たつさき」

◆取材・文:磯部正和/撮影=MANAMI/スタイリスト=伊藤省吾(sitor)/ヘア&メーク=加藤恵

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