ゴールデンウィークの余韻を吹き飛ばす戦慄の謝罪文が5月6日、「コープみらい」の公式サイトに掲載された。4月28日に組合員から「冷蔵品が黄色い液体に浸かっている」と連絡を受けて調査したところ、なんと委託先の配達員が荷台の発泡スチロールに排尿、それが漏れ出して商品を汚損させていたという事実が発覚したのだ。
謝罪文には「廃棄予定の配送器材に排尿した」とあるものの、同じ荷台にはあろうことか、他人の口に入る「食品」が並んでいた。
宅配業に15年間、従事するベテランドライバーは、
「とても他人事とは思えない」として、その過酷な内実をこう明かす。
「郊外ならまだしも、都市部は宅配ドライバーにとって、まさにトイレ砂漠なんです。トラックを停める場所もなく、それでも1分1秒を争う時間指定があれば、ルートを外れることは配送遅延という大罪に直結してしまう。だから我々ドライバーは尿意を催した瞬間に、絶望が襲いかかってくる。そんな生理的葛藤と毎日、戦っているんです」
コープの看板を背負っていることで、コンビニに停めているだけで「サボりだ」と組合員からクレームが入ることもあり、四方八方からの監視の目が、ドライバーを逃げ場のない荷台という「密室」に追い込んでいる、と指摘するのだ。
トイレ問題を解決しなければ第二第三の事件は起きる
つまりこの事件は、ワンクリックで簡単に品物が購入できるなど、便利になった物流の裏側にある、あまりに人間的な限界を最も不快な形で可視化してしまった悲劇でもあるわけだが、
「消費者が求めてきた便利さや低価格が、ドライバーの尊厳を虐げ、排泄の自由さえも奪った果ての結果だとしたら、この事件を単なる一作業員の不祥事として片付けるわけにはいかないでしょう。コープみらいは再発防止策として『労務環境の再点検』を掲げていますが、今回の事件を機に宅配業界全体が考えるべき課題は、ハンドルを握る人間が『今日はトイレに行けるだろうか』と怯えながら走る現状をいかにして変えられるか、ということ。そこをきちんとしない限り、第二第三の『荷台の悲劇』は、またどこかで繰り返されることになるはずです」(経済ジャーナリスト)
今回の「黄色い液体」の衝撃が、デジタル化できない「泥臭い物流」の限界を浮き彫りにしたことは間違いない。
(灯倫太郎)

