
先日、インドネシア・ボゴール県の上空で、幻想的な光景が目撃されました。
空に現れたのは、まるでAIが作った画像のような「虹色の雲」です。
あまりに鮮やかだったため、SNS上では「本物なのか」と驚く声も上がりました。
しかし、インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)は、この画像は紛れもなく本物であり、自然に起こる大気光学現象だと説明しています。
では、雲はなぜ虹色に見えたのでしょうか。
目次
- 虹色の雲は、AIではなく自然が作った光の現象
- なぜ「虹色の雲」に見えたのか
虹色の雲は、AIではなく自然が作った光の現象
ボゴール県の上空で虹色の雲が目撃されたのは、5月1日のこと。
現地の住民が撮影した動画には、空の一部に鮮やかな色を帯びた雲のようなものが映っていました。
その見た目は、普通の虹とも少し違います。
地平線から弧を描く虹ではなく、雲の一部がキャンディーのような色に染まっているように見えたのです。
実際の映像がこちら。
この珍しい光景を見た通行人たちは、車の速度を落としたり、路肩に停めたりして撮影を始めました。
そのため、一時的に交通が滞るほどだったと報じられています。
BMKGの公共気象部門局長代理であるイダ・プラムワルダニ氏は、この現象について、「太陽光と大気中の水滴が関係している」と説明しました。
空気中に浮かぶ小さな水滴や氷の結晶に太陽光が当たると、光は散乱したり、回折したりします。
白く見える太陽光は、実際にはさまざまな色の光が混ざったものです。
それが雲の粒にぶつかることで、色ごとにわずかに分かれ、雲の縁や一部が虹色に輝いて見えることがあります。
ただし、今回の現象は単に雲そのものが虹色に変化したというより、虹と発達した雲の位置関係が重なって、より不思議な見え方になった可能性があります。
なぜ「虹色の雲」に見えたのか
またBMKGによると、動画に映っていた空では、発達した積雲が虹の一部を覆っていたと考えられます。
積雲とは、もくもくと盛り上がるような形をした雲です。
このような雲が虹の一部を隠すと、私たちが普段イメージする半円形の虹ではなく、欠けた虹や、雲の中だけが虹色に光っているような姿に見えることがあります。
つまり、インドネシア上空に出現した「虹色の雲」は、AI生成画像ではなく、太陽光、水滴、雲の位置関係が作り出した自然の光景だったのです。
今回の出来事が多くの人を驚かせたのは、単に珍しいからではありません。
私たちは最近、あまりにも精巧なAI画像をよく目にするようになりました。
そのため、現実の空に非現実的な美しさが現れると、つい「作り物ではないか」と疑ってしまいます。
しかし地球の大気は、ときにAIよりも不思議で、鮮やかな光景を実際に作り出します。
虹色の雲の正体は、空が見せた一瞬の光のいたずらでした。
AIのように見えた虹色の雲は、自然がほんの数分だけ空に描いた、光と水滴の作品だったのです。
参考文献
No, these rainbow clouds over Indonesia are not AI
https://www.popsci.com/environment/rainbow-clouds-indonesia-ai/
Amazing Videos Of “Rainbow Clouds” Over Indonesia Aren’t AI – Earth Really Is Just That Cool Sometimes
https://www.iflscience.com/amazing-videos-of-rainbow-clouds-over-indonesia-arent-ai-earth-really-is-just-that-cool-sometimes-83418
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

