本サイトは4月24日に〈火に追われたクマが山から下りてくる!岩手県大槌町「後発地震・山林火災・クマ出没」という未曽有の「三重苦」パニック避難所〉と題する記事を公開。三陸沖地震に伴う後発地震注意情報が発令される中、延焼を続ける大規模山林火災から避難所に退避してきた住民の間で「火に追われたクマが山から里に下りてくるのではないか」という「不安の声」が広がり始めていることを伝えた。
その大槌町で5月6日午後、またしても新たな火災が発生。町の中心部に近い山林である。空からの消火活動によって、夕方には「延焼拡大の恐れはなくなった」と発表されたが、本サイトが指摘した不安の声が早くも「現実の脅威」として浮上しているのだ。
実は新たな山林火災が発生する前の同日早朝から、県内外の消防隊は、鎮圧(制御可能になった状態)に至った山林内の残り火調査を実施していた。調査はヘリやドローンによって行われたが、このうち吉里吉里地区の山林を調査していたヘリの熱源センサーカメラにあろうことか、親子を含む「ツキノワグマ3頭」の姿がクッキリと映し出されていたのだ。
地元メディアの報道記者が、コトの次第を明かす。
「赤外線の特性を活用した熱源センサーカメラは、目に見えない熱源を白い映像として映し出します。体温を有する野生動物も例外ではありません。調査は隠れた残り火がないかを確認するために行われていましたが、消防隊の熱源センサーカメラには、木をよじ登る母グマと子グマとみられる2頭と、成獣とみられる別の1頭を加えた計3頭のツキノワグマの姿が、動き回る白い映像としてハッキリと捉えられていたのです」
山林焼失で居場所を失ったツキノワグマが次々と街中に下りてくる
火災は鎮圧に続いて鎮火(再燃の恐れがなくなった状態)が確認されなければ、収束宣言を出すことはできない。大槌町の山林火災の場合はなおさらで、消防隊は鎮火へ向けて懸命の消火活動を続けていた。
ところが、熱源センサーカメラが期せずして捉えたクマの映像によって、消火活動への見通しが大きく暗転してしまったのだ。
地元メディアの報道記者が続ける。
「消火活動は空や海のほか、陸からも行われますが、焼失エリアでクマの存在が確認された以上、地上部隊を送り込むことができなくなりました。町の消防団員からは『とてもではないが、怖くて山に入れない』との声が上がっています。いや、それだけではありません。今回の大規模山林火災における焼失面積は1633ヘクタールに及んでおり、居場所を失ったツキノワグマが次々と里や街中に下りてくるのではないか、との懸念が現実的かつ深刻な脅威として、急浮上してきているのです」
一難去ってまた一難。住民の不安は募るばかりだ。
(石森巌/ジャーナリスト)

