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「貫通爆弾ドローン」が戦場の“逃げ場”をなくす【動画あり】

「貫通爆弾ドローン」が戦場の“逃げ場”をなくす【動画あり】

”貫通爆弾”ドローンが開発される / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

分厚いコンクリートや強固な防御で守られた軍事施設を貫いて破壊する「貫通爆弾(バンカーバスター)」は、巨大爆撃機が運ぶ大型兵器として知られています。

ところが米陸軍は今回、バンカー破壊を目的とする新型弾頭を、小型の使い捨て型ドローンに搭載して実射することに成功しました。

新型弾頭の名前は「BRAKER(Bunker Rupture and Kinetic Explosive Round)」です。

構想から実射試験まで、わずか2週間で到達したとされています。

この内容は、米陸軍が2026年4月21日に公式発表しました。

目次

  • 地下施設を破壊する「バンカーバスター」をドローンに搭載
  • わずか2週間で実射へ、戦争は「高速開発」の時代へ

地下施設を破壊する「バンカーバスター」をドローンに搭載

通常の爆弾は、建物や地表付近で爆発し、その衝撃や破片によって周囲を破壊します。

しかし軍事施設の中には、厚いコンクリートや土砂、地下構造によって守られているものがあります。

地下司令部、弾薬庫、トンネル、掩体壕などはその代表例です。

こうした「硬く守られた目標」を破壊するために発展してきたのが、地中貫通爆弾、いわゆるバンカーバスターです。

バンカーバスターは、表面で爆発するだけの兵器ではありません。

高速で落下して地面やコンクリートを突き破り、内部に入り込んだあとで爆発することで、強固な施設に大きな損傷を与えます。

たとえば湾岸戦争では、地下施設を攻撃するためにGBU-28のような大型のバンカーバスターが使われました。

ただし、この種の兵器には大きな特徴があります。

それは、とにかく重く、大きいことです。

硬い構造物を貫くには強い運動エネルギーが必要になるため、従来のバンカーバスターは大型航空機から投下される兵器というイメージが強くありました。

しかし今回、米陸軍が試験したBRAKERは、その発想を小型ドローンの時代に合わせて変えようとするものです。

BRAKERは、小型で機敏なドローンから運用できる、軽量で強力なバンカー破壊用弾頭として開発されました。

米陸軍の発表によれば、弾頭は低コストで使い捨て可能な一方向攻撃ドローンに統合されています。

つまり、巨大爆撃機が巨大な爆弾を落とすのではなく、小型ドローンが強固な軍事施設に近づき、弾頭を届けるという発想です。

そしてBRAKERが特に注目されているのは、その開発スピードです。

(次項では試験の様子も動画で確認できます)

わずか2週間で実射へ、戦争は「高速開発」の時代へ

米陸軍によると、BRAKERは構想から実射まで2週間で進められました。

軍事兵器の開発には、通常、長い時間がかかります。

設計、試作、安全確認、統合試験、実射試験など、多くの工程があるためです。

しかしBRAKERでは、2026年3月上旬に米陸軍の技術者たちが設計を始め、爆薬の成形、弾頭外殻の製造、ドローンへの統合を短期間で進めました。

この速さを支えた技術の1つが、3Dプリンティングとも呼ばれる積層造形です。

部品を短期間で作れるため、試作品の製造から実験までの流れを大幅に短縮できます。

さらに重要なのが、「Picatinny Common Lethality Integration Kit(CLIK)」と呼ばれる仕組みです。

これは、無人航空機システムに弾頭などのペイロードを安全に統合するための共通インターフェースです。

簡単に言えば、ドローンと弾頭をつなぐための共通規格のようなものです。

こうした仕組みが整えば、低コストの使い捨て型ドローンへ、必要な弾頭を短期間で統合しやすくなります。

実際、BRAKERでは約12発の試作弾頭が組み立てられ、互換性試験が行われました。

その後、試作品はアラバマ州のレッドストーン兵器廠へ送られ、2026年3月26日に米陸軍幹部向けの実射デモが実施されました。

公式発表では、ドローンに搭載された弾頭が指定標的で作動し、新たな能力を示したと説明されています。

米陸軍は、この技術を戦闘員にとっての優位性として位置づけています。

しかし、戦争を受ける側から見れば、これは決して明るい話ではありません。

小型ドローンが強力な弾頭を運び、強固な軍事施設を狙えるようになるほど、戦場では「厚い壁の内側なら安全」という前提が崩れていきます。

さらに、3Dプリンティングや共通接続規格によって兵器開発が速くなれば、防御する側は次々に変化する脅威へ対応しなければなりません。

BRAKERと小型ドローンは、「強固な施設に隠れる」という考え方さえ揺さぶり始めています。

参考文献

US Army combines bunker-buster warhead with drone delivery
https://newatlas.com/military/bunker-buster-braker-heavy-punch-warhead-drone-mobility/

BRAKER breakthrough: Army successfully tests new air-delivered bunker busting warhead
https://www.army.mil/article/291876/braker_breakthrough_army_successfully_tests_new_air_delivered_bunker_busting_warhead

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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