四大大会の1つである「全仏オープンテニス」が、5月24日から始まります。女子の注目は、過去4度の優勝経験を持つイガ・シフィオンテク(ポーランド)が、どういう状態で大会に入ってくるかでしょう。
少し勢いがない中でコーチを変えており、クレーシーズンで調子を上げて行きたいという意図が読み取れます。元々クレーが得意でしたが、グランドスラム(四大大会)を意識した時に、他のサーフェスでも勝てるように課題に取り組んでいました。それにはリスクも伴います。攻撃力をプラスしてサービスを改善していく中で、勝てなくなることが起きてしまいました。まだ課題の部分を自分の物にできていない状態です。
それでも一番自分の強みを出せるのはクレーです。フィジカルが強いですし、クレーの長いラリーで、攻撃と守備のバランスもいい。オープンコートを作って中に入って攻める形が作れる絶対的なものを持っているので、クレーでは特別な強さがあると感じます。
世界1位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)は、全仏オープンのタイトルを取っていませんから大きなチャレンジになります。基本的なスタイルは変えないと思いますが、ラリーが長くなってくると厳しくなるので、ドライブボレーやネットプレーでどうやって仕留めるか、ラリーを短くできるかがカギになるでしょう。
サバレンカは一時期サービスに苦しみましたが、今となってはその不安を感じることもなく勝つごとに自分の中のテニスに自信に満ち溢れていると言えると思います。十分なトレーニングをしてきているため、フィジカルに対する自信もあるのでしょう。あと、「ここを崩されたら流れがいきそう」というところをちゃんと抑える力があります。それが他の選手とは違う点で、トップに立てる要因です。
昨年のチャンピオンであるココ・ガウフ(アメリカ)の2連覇は簡単ではないでしょう。クレーでショット間に時間があるのは彼女にとってプラス要因ですが、優勝候補に挙げるには、少し物足りなさを感じます。
若手の台頭も目立ってきました。18歳のミラ・アンドレーワ(ロシア)は前哨戦で優勝しています。全豪オープンでベスト8入りした18歳のイバ・ヨビッチ(アメリカ)は、前哨戦でも上位に進出しました。彼女は全てをそつなくこなせるタイプです。ビクトリア・エムボコ(カナダ)はパワーがあり、19歳でまだ完成していないので、これからフィジカルが強くなり、精度も高くなってきたらトップで十分戦える存在です。
あと20歳のアレクサンダー・イーラ(フィリピン)は、着実に成長してきています。身体も大きくなってきましたし、プレーもしぶとくなり、全体的に上がってきたと感じます。ナダルアカデミーで練習しているためクレーにも慣れていますし、左利き特有のワイドのサービスを使うパターンは効果的でしょう。
この選手たちはトップを脅かす存在になり得ると感じます。去年以上に若手の活躍が期待できそうです。
日本人選手では、大坂なおみ選手がゆっくりとですが着実に良くなってきています。ランキングでシードが付く位置に戻っているので調整しやすくなってきていることは間違いありません。何よりフィジカルのいい状態がキープできているだけに、グランドスラムでの強さがまた際立ち始めました。
クレーに対する苦手意識も少しずつ弱まってきているように感じます。クレーに対してストレスをためず、大きな気持ちで戦っていくと、チャンスも訪れるのではないでしょうか。
内島萌夏選手はクレーでの試合経験が多く結果も出しているため、本人も得意なサーフェスだと感じているでしょう。彼女の場合はプレーがクレー向きというよりは、クレーが得意なタイプの選手と向き合って受け止められるタイプです。相手がしてくるプレーが予測できて、どう対処したらいいかが見えている気がします。
引き出しをもっと増やせば、自分が思うような展開にならない時に、耐えて自分の展開に持っていくことができるようになるでしょう、そうすればプレーも安定してくると思います。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
【画像】逆転勝利でココ・ガウフが全仏オープン初優勝!2時間38分に及ぶ激闘を厳選ショットでプレイバック!
【画像】2025全仏オープンを戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
【画像】2025全仏オープンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト

