最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
有名な「魔女宅とクロネコヤマトが公開前にトラブった」情報は大ウソ? なぜ都市伝説が広まったのか

有名な「魔女宅とクロネコヤマトが公開前にトラブった」情報は大ウソ? なぜ都市伝説が広まったのか


『魔女の宅急便』場面写真 (C)1989 Eiko Kadono/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, N

【画像】え、「めっちゃいい関係じゃん」「懐かし」 クロネコヤマトが公式に『魔女の宅急便』を応援していた公開時のポスター

できすぎて面白いので広まった?

 2026年5月8日(金)の「金曜ロードショー」は、スタジオジブリの名作『魔女の宅急便』です。映画は1989年に公開され、当時のアニメ映画興行収入歴代1位となる43億円の大ヒットを記録しました。6月19日(金)からは、4Kデジタルリマスター版が、全国のIMAX劇場で公開予定です。

 ところで、本作に関して、こんなエピソードを聞いたことがないでしょうか。

「『宅急便』という言葉は、自社の登録商標だとクロネコヤマト(ヤマト運輸)からクレームが入った。ジブリはそれを知らなかった。しかし今さら映画の内容を変更することはできない。話し合いの結果、ヤマト運輸がスポンサーになることで丸く収まった」

 という、映画の雰囲気にもマッチしたほのぼのした裏エピソードです。

 ネットで調べると、だいたい上記と同じ内容で紹介されています。しかし、これは少しできすぎた話で、都市伝説の可能性が高いのです。

 本作のプロデューサー・鈴木敏夫さんが書いた『スタジオジブリ物語』(集英社新書)を読むと、実はそもそも『魔女の宅急便』の映画化はジブリ発ではなく、電通を通じて持ち込まれた企画だったことが説明されています。

 さらに、「この(企画段階の)時点で、『宅急便』の商標を持ち、クロネコをトレードマークとするヤマト運輸が、タイアップすることも決まっていた」とも書いてありました。つまり、両社は最初から協力タッグを組んでいたわけです。これだけで、上記のクレームのエピソードはありえないことになります。

プロとして考えにくいミス

 よく考えると、例のエピソードには疑わしい部分がいくつもありました。仮に、ジブリが商標であることを知らないまま「宅急便」をタイトルに使用したとしましょう。しかし、作品タイトルとして使うこと自体が、直ちに違法になるわけではありません。

 商標は、同じ分野でサービス名として使われたり、企業との関係を誤解させたりした場合に問題となります。例えば「ジブリ宅急便」という配達業を始めればアウトですが、本作はあくまで物語のタイトルであり、原作の角野栄子さんによる小説『魔女の宅急便』は1985年に書籍が出版され、そのまま成立しています。

 ただし、これが映画となれば話は別です。規模が大きくなり、広告やスポンサー、企業イメージもからんできます。商標を知らなかったでは済まされない事態になるのは当然なので、ジブリほどのプロ集団がそんな初歩的なミスを犯すとは考えにくいのです。

 ではなぜ、「ヤマト運輸から『宅急便』は自社の登録商標、というクレームが入った。ジブリはそれを知らなかった」という話が広まったのでしょうか。

 もちろん、これは考察ですが、1989年の映画公開前に、ヤマト運輸は新聞の全面広告にこんなキャッチコピーを出しました。

「ヤマトは大きく成長しました。今や、宅急便は一般名称となりつつあります」

 当時から、荷物を運ぶ業者はいくつもありましたが、大方は「宅配便」と呼んでいました。ところが、この広告で「そういわれれば、クロネコヤマトだけ『宅急便』だ」という違いを知って、驚いた人が多かったのだと思います。

 この広告以外でも、映画の公開後に宅急便の商標の件を知った人は多いでしょう。この印象の強さから、「ジブリは登録商標であることを知らなかった」といううまくできた面白い話を誰かが作り、広まってしまった。というような流れなのではないでしょうか。

 何はともあれ、公開から37年経った今でも、このような都市伝説が語られるとは、本作の根強い人気には驚いてしまいます。

配信元: マグミクス

あなたにおすすめ