・薄れていく記憶
あまりにも予想と違う味が口に広がるため、咀嚼を続けるうちに私の脳も徐々に混乱してきた。
具体的に言うと、家系ラーメンの味を忘れつつある。そもそも家系ラーメンって何だっけ? 私の舌に深く刻み込まれていたはずの家系の刻印が、ものすごいスピードで薄れていくかのようだ。
もはや家系ラーメンの顔が思い出せない。
誤解のないように言っておくと、決してマズいわけではない。このランチパックの実体は家系ラーメンに憧れている謎の惣菜パンであって、家系ラーメンの代替品にはなり得ないのだ。
食べ終わった後、私の中に湧き上がってきたのは「今すぐ本物の家系ラーメンを摂取して、記憶を取り戻したい」という強烈な渇望であった。
ある意味、ユーザーをラーメン屋へと向かわせる最強の起爆剤と言えるかもしれない。
このランチパックを試す時は、周辺に家系ラーメンの店舗があるかあらかじめ確認しておくといいだろう。食べ終わった後、気がついたらあなたはその暖簾をくぐっているはずだ。
