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「まさかパワハラくそ上司に同情する流れとは…」“サム・ライミ節”が効いた痛快ブラックコメディーに座布団一枚<HELP/復讐島>

「まさかパワハラくそ上司に同情する流れとは…」“サム・ライミ節”が効いた痛快ブラックコメディーに座布団一枚<HELP/復讐島>

「HELP/復讐島」はディズニープラス スターで見放題独占配信中
「HELP/復讐島」はディズニープラス スターで見放題独占配信中 / (C)2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

サム・ライミ監督が手掛ける映画「HELP/復讐島」が、5月7日に配信された。劇場公開時から、ライミ監督らしい世界観への称賛の声が上がる一方、ストレス社会を生きる現代の人々に共感と疑問のアンビバレントな感情を抱かせた本作。早速配信を見た視聴者からは、「どっちに共感すれば…」「劇場では怖くて見られなかったけど痛快でした」と、さまざまな反応が上がっている。(以下、ネタバレを含みます)

■上司と無人島で2人きり…新感覚の復讐エンターテインメント

同作は、「死霊のはらわた」「スパイダーマン」シリーズのライミ監督がメガホンをとり、2026年1月30日に日米同時劇場公開されたノンストップ復讐(ふくしゅう)エンターテインメント作品。「きみに読む物語」や「アバウト・タイム 愛おしい時間について」などで知られるレイチェル・マクアダムスと、映画「メイズ・ランナー」シリーズのディラン・オブライエンが、上司と部下であり、サバイバルを生き抜く“パートナー”として対峙(たいじ)する。

主人公は、コンサル会社の戦略チームで働くリンダ・リドル(マクアダムス)。数字に強く有能で、亡くなった先代社長の覚えもめでたい社員だったが、先代の息子であり、新しく社長に就任したパワハラ体質の上司ブラッドリー・プレストン(オブライエン)からは冷遇されてしまう。初対面のときからグイグイ話し掛け、ツナマヨを手にくっつけてしまったからだろうか…。

先代社長の意向で内定していた副社長のポストも、ブラッドリーの一存で反故にされ、リンダは鬱屈(うっくつ)とした日々を送っていた。そんなある日、ブラッドリーや幹部たちの出張に同行することになったリンダだったが、乗り込んだ飛行機が墜落してしまう。目を覚ますと、そこは見渡す限りの孤島で、生き残ったのはよりによってブラッドリーと自分の2人だけだった。

■無人島に2人きり…次第に形勢逆転

しかも彼は足をけがしており、思うように歩けない。リンダは渋々ながらも、上司相手ということもあって献身的にサポートしつつ、サバイバル番組好きが高じて得た知識を生かして、火を起こし、2人が暮らせるだけの生活スペースを作っていく。

だが、それから何日たっても救助が来る様子はなかった。その上、けがで大して役に立たないわりに社長気分が抜けないというか、元来の不遜な性格からか、傲慢な態度を崩さないブラッドリーに対し、リンダは次第に鬱憤を募らせる。そして、ブラッドリーが自分1人では生きていけないと悟ったとき、主従関係が逆転していく。

ブラッドリーが“命令形”を少しずつ改め、しばらくは2人の関係もうまくいっていたが、やっぱりそこは命令されるのが嫌いなボンボンの社長。プライドの高さから、ある程度傷が癒えると彼は自分で全てやってみようと思い立ち、リンダのもとを離れる。

リンダが何事も淡々と簡単そうにこなしていたこともあるだろうが、「自分でもそれくらいできる」と。ただ、サバイバルはさておきキャンプ経験のある人なら分かると思うが、傍目では簡単に見えることでも実際に自分でやってみると難しいもの。当然、ボンボンの彼では全く思うようにいかない。それでも、すぐにはリンダを頼らないでいたが、しまいには空腹に耐えかね、彼女に平謝り。プライドをかなぐり捨てて食料を恵んでもらうことに。

さすがに反省したのか、その後は殊勝な態度でリンダに協力するブラッドリー。2人で生き延びるために協力し合う。一緒に崖を散歩しているとき、崖から落ちそうになった彼女を助けもした。これは本当に改心したのかも、とリンダも居心地の良さを感じていた。

だが…やはり人ってそう簡単には変わらない。大人になればなおさらだ。実はリンダのサバイバル能力をこっそりと学び、けがも全快に近づいた頃、ブラッドリーは虎視眈々(たんたん)と彼女を出し抜こうと機会をうかがい、やがて“実行”に移すのだった――。

「HELP/復讐島」より
「HELP/復讐島」より / (C)2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

■ゴールデンウイーク終わりの日本人にもピッタリ?

ゴールデンウイークが終わり、学校なり、会社なりに通い始める5月7日にこの作品を配信するというのも、なかなか狙いすました感のあるタイミング。いつか復讐したい…と思うほどではないにしろ、誰しもが自分を冷遇する上司や、露骨に手柄をかっさらう同僚、表では普通に仲良く話すけど裏では足を引っ張ろうと機会をうかがう同期…そんな経験はあるだろう。だからこそ、誰の立場に感情移入して見るかによって、余韻が違うはず。

1月の劇場公開時にも「どっちに感情移入すれば…」と話題になったが、単純に“不遇の女性社員”が“パワハラ上司”へ復讐を果たす、という物語ではない。あえてなのか、邦題・事前情報のある種のミスリード感が絶妙だった。結構なネタバレなので言わないが、最後の“どんでん返し”も含め、「やられた!」と思わず叫んだほど。

一生懸命作った資料をゴルフ場でブイブイ言わせていそうな同僚に自分の手柄のようにされてしまうなど、リンダは不遇な面はあるものの、他の男性社員が女子社員に少し遠回しにデートのお誘いをしているところにしれっと割り込んで参加しようとしたり、初対面なのになれなれしく新上司のブラッドリーを呼び止めて話し掛けたり。悪気はないのだろうが、だからこそちょっとタチが悪いタイプ。

リンダは、今人気のサバイバルオーディション番組…ならぬサバイバル番組のオーディションを受けるくらい、サバイバルが大好き。火起こしやベースキャンプ作りはもちろん、猪突猛進に突っ込んでくるイノシシを自家製の槍で串刺しにして殺し、焼いて食べるなど、頭がいいだけでなく会社や学校では絶対教えてくれないことに関しても有能。だからこそ、会社で若干空気が読めない感じでも生き抜いて来られたのかもしれない。

本筋とは関係ないが、冷遇されていた会社員姿より、サバイバルで生き生きと活躍する姿のほうが心なしか美しい気もした。誰だって好きなことをしているときのほうが輝くものなのだろう。

■ブラッドリーに同情するところも…

一方のブラッドリーはというと、この作品を紹介するニュースには必ず出ていた「パワハラ上司」のイメージとは少し違う印象を受けた。孤島に墜落する前は、そこまでザ・パワハラ上司的な描写が目立たなかったせいもあるが、生意気なボンボンの二代目社長くらいの印象だ。もちろん秘書を美貌で選ぼうとしたり、ツナマヨの臭いを無理矢理嗅がせようとしたり、飛行機内で過去にリンダが出ていたサバイバル番組のオーディション映像を見て彼女を嘲笑ったりと、決していいヤツではないことも添えておく。

それでもサバイバル中、いつまでも傲慢な態度を改めない姿や、隙あらばリンダの上に立とうとする性格の悪さがよく出ていたので、人間追い込まれたときにこそ本性を現す、その典型なのだろう。

リンダが仕留めたイノシシのくだりだけでなく、終盤のリンダVSブラッドリーの異種格闘技戦、血しぶきのインパクトはスプラッターやダークでユーモアのある世界観に定評のあるライミ監督“らしさ”がふんだんに出ていた。そのあたりは往年のライミファンも満足してくれるはず。

これほどまでに百聞は一見に如かず、という言葉を当てはめたい作品は珍しい。もしも「笑点」の司会だったら、座布団一枚あげたくなる痛快さだ。自分の上司に復讐したいかはさておき、ゴールデンウイーク明けで陰鬱な日々が始まっちゃったよって人は、一旦何も考えずに、ポチっと再生ボタンを押してみたらいいと思う。

そんな本作が配信されるや、SNSには「サム・ライミ節が効いてて良かった」「今年のベスト級!」「やっぱ最高におもしれーな!」「可哀想って思いきれない秘めた狂気。最高でした」「エピソードの詰め込み方がおもろい」といった内容への称賛の声や、「まさかパワハラくそ上司に同情する流れがくるとは…」「リンダもたいがいだろ」「どっちもどっちだなあ」と、メイン2人のどちらにも共感できるという投稿も目立った。

「HELP/復讐島」は、ディズニープラス スターで見放題独占配信中。

◆文=武原堅人


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