本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。
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表現力とは、その人が持っている何かを、確かな形で他者に伝えることを言います。表現者の感性と受け手側の感性によって、伝え方・伝わり方は千差万別です。
画一的でなく、金子みすずさんの詩の一節にあるように、「みんなちがって、みんないい」。芸術であれ、スポーツであれ、発信者の真意が相手(受け手側)にうまく伝わり、そこに感動が生まれれば最高です。
若い頃のイチロー選手は30メートルダッシュの時、必ず1メートル多く走ると当時のトレーニングコーチが話していました。31メートルを目指して駆け抜けた方が速く走れるのです。これがより上を目指していたイチロー選手の“プラス1メートル”の表現力です。同じ練習をしても、指示されたことをこなしている人と、自分で考えて表現していく人とでは、結果はおのずと違ってきます。表現できる人になりましょう。
表現する方法として必要なのは、主に下記の3つです。
①書く力──書くことで頭の中を整理することができ、確かなモノに近づきます。基礎練習と考えてください。
②話す力──読むのではなく感情や身振りを加えて、より中味のあるモノに仕上げます。マッチ練習と同じで数をこなせばうまくなります。
③走るカ──実践する力のこと。積み上げてきたモノを、試合や行動で表現する力です。
いい表現(アウトプット)をするには、情報収集(インプット)が重要になります。そこで、“一流に触れる”ことの大切さを真剣に考えてください。ナンバーワンプレーヤーの試合を観戦する、一流の指導者に話を聞く、一級品の食事を味わう、名画と出逢う、オーケストラの演奏を聴く。このようなことで感動や気付き、閃きが起こります。
インプットは脳内世界を変えてくれます。しかし大事なのはそこからで、学習や気付きなどをいかにアウトプットするかが鍵になります。自分を変えたければ、勇気を出して表現力【書く力・話す力・走る力】を鍛えることです。アウトプットは現実世界を変えてくれます。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2020年11月号から抜粋・再編集
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