現地時間5月6日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2025-26シーズン プレーオフ決勝の第3戦が行なわれた。
男子日本代表の石川祐希が所属するレギュラーシーズン1位シル スーザ スカイ・ペルージャは6位クチーナ ルーベ・チヴィタノーヴァとホームで対戦。セットカウント3-1(25-27、26-24、25-22、25-20)で逆転勝利を収め、プレーオフ無敗で今季3冠目、通算3回目のリーグ優勝を果たした。石川は念願のリーグ初制覇を成し遂げると同時に2002-03シーズンの加藤陽一氏(トレヴィゾ)以来、日本人選手として2人目となる快挙を達成した。
2連勝でスクデット(リーグ優勝)に王手をかけてホーム開催の第3戦に臨んだペルージャ。後がないチヴィタノーヴァは巻き返しを狙う戦いに挑んだ。本拠地『パラ バルトン』の入場口から続く通路は、まるで満員電車のような混雑ぶり。チケット即完売となったその会場には、優勝の瞬間を目に焼き付けようと詰めかけたおよそ5000人の観客で埋め尽くされた。
両チームともに先発は第1、2戦からメンバーを変更せず。ペルージャは司令塔のイタリア代表シモーネ・ジャンネッリ、OPの元チュニジア代表ワシム・ベンタラ、MBがイタリア代表ロベルト・ルッソと元アルゼンチン代表セバスティアン・ソレ、OHにはポーランド代表カミル・セメニウクとウクライナ代表オレフ・プロトニツキ、Lの元イタリア代表マッシモ・コラチで布陣を組んだ。
〈S:セッター、OH:アウトサイドヒッター、OP:オポジット、MB:ミドルブロッカー、L:リベロ〉
チヴィタノーヴァは、Sマッティア・ボニンファンテ、OHマッティア・ボットロ、MBジョバンニ・マリア・ガルジューロとLファビオ・バラソのイタリア代表4選手、OHのもう2枚がブルガリア代表アレクサンダル・ニコロフとカナダ代表エリック・レプキー、MB1枚に元セルビア代表マルコ・ポドラシュチャニンを起用した。
第1セットはニコロフの攻撃を1枚ブロックで阻止したプロトニツキがエースも決め、ペルージャが序盤を先行。中盤に入ると相手の誤打とセメニウクのエースに加え、好守からラリーを立て続けに制してリードを最大5点へ広げる。
17-12でサーブミスが出た後、チヴィタノーヴァのボットロに2連続エースを許すとペルージャがタイムアウト。直後に石川をリリーフサーバーとして投入する。右膝故障からおよそ3カ月ぶりとなるコート復帰で放ったサーブは、悔しくもネットに阻まれ18-16。リードを維持したまま迎えた終盤、サイドアウトを奪った直後のチヴィタノーヴァにエース2本を献上し逆転を許すと、3度目のセットポイントをニコロフのレフト攻撃で制されてセットを譲り渡した。
先にブレークを奪取して2セット目をスタートしたペルージャだったが、ソレがブロックの着地で左膝を負傷するアクシデントが発生。右膝半月板損傷で2月に手術を受けて第2戦で復帰したアルゼンチン代表アグスティン・ロセルと4-2で交代する。そこからややリズムを失い始めたペルージャは、ニコロフに2連続得点を決められて後退。後半にボットロのブロックとプッシュ、レプキーのエース2本などでビハインドが6点に広がる。
終盤にブレーク3回を返すが、21-24としたチヴィタノーヴァにセットポイント。観客の誰もが2セットダウンを覚悟した窮地だったが、ペルージャはそこから猛攻撃を開始する。相手が最初のチャンスを逃すとベンタラのサーブを起点にまずはジャンネッリが好調なニコロフをブロック。
続いて、プロトニツキの好守をセメニウクが得点に変えてデュースへ持ち込み、ベンタラが値千金のエースを叩き込んで怒涛の3連続ブレーク。奪い取ったセットポイントをセメニウクのクロス弾で仕留めて試合を振り出しへ戻した。ホームのペルージャを応援する観客が大逆転に総立ちになり、会場は興奮の渦に包まれた。
第3セットもニコロフのバックアタック2本で連続ブレークを手に入れたチヴィタノーヴァが優位に立ち前半を終える。だが、後半に入るとすぐにベンタラのサーブが再び炸裂。2連続エースでチームを勢いに乗せるとジャンネッリがニコロフのライト攻撃をまたしてもブロックでシャットアウトして3点リードに転じる。
チヴィタノーヴァはその直後、アタックミスが出たボットロをベンチに下げてU19フランス代表ナオ・ドゥフロス-ロッシを起用。セッターのボニンファンテもふくらはぎの痙攣でコートを降り、元アルゼンチン代表でイタリア国籍を持つ42歳のベテラン選手サンティアゴ・オルドゥーナと交代する。終盤、ペルージャはブロックで点差を詰めて粘る相手とのラリーを制して突き放し、セット連取に成功。優勝へ大きく前進した。
ペルージャはプロトニツキのエースなどで第4セットを序盤からリード。セッターを引き続きオルドゥーナに任せ、ボットロをコートへ戻してこのセットに臨んだチヴィタノーヴァは、2セット目以降ミスの目立ち始めたサーブが復調せず。中盤にギアを上げたペルージャは、ブレーク4回を積み重ねるなど順調な試合運びで19-12と大きく点差を広げる。
終盤にニコロフの連続得点で相手が2点を返した後、石川が再びリリーフサーバーに起用されるが、残念ながら打球は再びネットを越えず20-15。以降、セッターのボニンファンテをコートへ戻したチヴィタノーヴァにブレーク1回を許したものの、主導権を握ったままジャンネッリのツーでマッチポイントを引き寄せて最後は相手のサーブがネットにかかり頂上決戦に決着。ペルージャが、今季3冠目と同時に2季ぶり通算3回目のスクデット獲得を成し遂げた。
イタリア11シーズン目の石川にとって、リーグ制覇はキャリア初。日本人選手として2002-03シーズンの加藤陽一氏(トレヴィゾ)以来、2人目となる栄冠を手中に収める快挙を達成した。
2023-24シーズンに2回目の優勝が決定したのは、高橋藍が当時所属していたモンツァとのアウェー戦。本拠地でチームを祝福できるのは初優勝の2017-18シーズン以来とあって、表彰式を終えたフロアに観客がなだれ込んだ。選手とスタッフがもみくちゃにされながらサポーターと歓喜を分かち合うペルージャ流のセレブレーションは日付が変わっても続いた。
抱擁を交わしたアシスタントコーチのマッシミリアーノ・ジャッカルディ氏は、ジャケットから滴り落ちるほど大量の汗。ベンチの緊張感は相当だったようだ。スタッフ陣の熱量と尽力がペルージャの強さを支えているのだと感じずにはいられなかった。
ペルージャが残すは今季の最終ステージ。現地5月16、17日にトリノで開催されるCEVチャンピオンズリーグで欧州連覇を狙い、初日に行われる準決勝の第1試合でポーランドリーグ・プレーオフ3位PGE プロジェクト・ワルシャワと決勝進出をかけて激突する。
取材・文●佳子S.バディアーリ
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