大相撲五月場所の関取昇進レースは熾烈を極めそうだ。注目は東幕下二枚目の嵐富士、東幕下三枚目の和歌ノ富士の2人。いずれもキャリア最高位で、幕下上位としては「新顔」にあたる。
まず、嵐富士は伊勢ケ浜部屋所属の高卒3年目のホープ。鳥取城北高校時代の22年に出場した全国高校総体で個人戦準優勝の実績を持つが、卒業後は伯乃富士の父親が経営する会社に所属する実業団選手として実力を蓄えた。スポーツ紙デスクが解説する。
「2023年に出場した国体の成年の部でベスト8入り。幕下最下位格付け出しの資格を獲得して、元横綱・白鵬が継承した宮城野部屋に入門しました。24年3月場所のデビューから5場所連続で勝ち越しましたが、東幕下八枚目で迎えた25年1月場所に初の負け越し。幕下上位の壁に跳ね返されてしまった」
24年3月に兄弟子の暴力トラブルによって宮城野部屋は封鎖。入門からほどなくして伊勢ケ浜部屋に移籍することになったのが幸いした。
「旧宮城野部屋勢は、伊勢ケ浜部屋の厳しい稽古に耐えられずに引退してしまう者も少なくなかった。嵐富士は身長171cm、体重118kgと小兵力士の部類ですが、アマチュア時代に培われた実力があったから稽古に耐えられた。むしろ、厳しい稽古を経てポテンシャルが開花しようとしています。現師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)の意向で、今年1月場所から四股名も本名の『松井』から変更になりました」
ちなみに、高校総体の決勝で土を付けられた豪ノ湖(武隈部屋)は東幕下十七枚目。伸び悩む同級生のライバルに先んじたい。
筆頭候補は稽古総見で十両を圧倒
2人目は和歌ノ富士(下の写真)。こちらは日本体育大学出身のモンゴル人力士だ。日本体育大学柏高校にレスリングの選手として留学した経歴は、横綱・豊昇龍にも重なる。もっとも、入学後に相撲に転向した横綱とは異なり、高校時代はレスリングに専念して高校日本一に輝いている(※記事は写真の下に続きます)。

「日体大に進学して相撲に転向したので競技歴は長くありません。それでも、最終学年には学生横綱のタイトルを手にするほどの“怪物”になりました。それも負けず嫌いの性格のおかげでしょう。24年に出場した全日本相撲選手権では決勝で敗れ、表彰式でも苦虫を噛み潰したような顔のままでしたからね。かなり勝ち負けにこだわるタイプのようです」(スポーツ紙相撲担当記者)
先の三月場所は全勝で幕下優勝。5月1日に開催された「稽古総見」でも十両を圧倒する力を見せていた。次期関取の筆頭候補であることは揺るぎないだろう。先場所は十両復帰を目指す炎鵬が注目された。今場所も混戦模様の幕下上位陣を要チェックだ!
(五代晋作)
平成ひとケタ生まれのゆとり世代。プロ野球や大相撲をメインにスポーツを取材する。密かなライフワークは日本の映画&ドラマ鑑賞。動画配信サブスクが手放せない。

