海外旅行先として人気が高い東南アジア。とりわけタイで重宝される格安配車アプリ「Bolt」に、不穏な噂が広がっている。現時点では利用できるケースが多いが「近々、使えなくなるのではないか」との声が聞かれるのだ。その背景にあるのが、タイ政府による配車サービス全体への規制強化である。
とりわけ問題視されているのは、ドライバーの質と安全性である。無許可営業やアカウントの不正使用といった違反が相次ぎ、当局は厳しい姿勢で調査を進めている。
報道によれば、違反件数はここ最近で急増しており、サービス全体の信頼性が問われる事態となっている。
筆者の周囲でも、Boltに関するトラブルは決して珍しくない。「乗った瞬間にドライバーから酒の臭いがした」「明らかに飲酒しているようで怖かった」といった声に加え、女性からは「しつこくナンパされた」という証言が聞かれる。気軽で安価な移動手段として支持されてきた一方で、安全面への不安は確実に広がっているのが実情だ。
体感的にはGrabを上回る存在に
Boltの営業ライセンスの有効期限は2026年5月とされており、政府は「問題が改善されなければ更新しない可能性もある」と警告している。つまり最悪の場合、タイ国内でサービス停止に追い込まれる可能性が否定できないのだ。
とはいえ、利用者の本音は単純ではない。Boltはここまで大きな値上げもなく、手頃な料金を維持してきた数少ない配車アプリ。車両数やドライバーの多さという点でも、体感的にはGrabを上回る場面が多く、日常の足として欠かせない存在となっている。
だからこそ「問題は改善してほしいが、サービス自体は残ってほしい」という声が多いのは頷けるのだ。
今後の行政判断ひとつで状況が大きく変わるリスクを抱えるBolt。利便性と安全性のバランスが厳しく問われる局面に入ったと言えるだろう。
(カワノアユミ)

