3歳馬によるマイル王決定戦として行われたGI・NHKマイルカップ(5月10日、東京・芝1600メートル)は、ダミアン・レーン騎乗のロデオドライブがゴール直前、先に抜け出したアスクイキゴミをハナ差捉えて優勝した。
まさに推し測ったかのような、直線一気の強襲劇。レーン騎手の「高い技術」と「強い腕力」に、改めて度肝を抜かれた競馬ファンは多かったに違いない。
だが、この強襲劇にはオチがついていた。レース後、JRAは決勝線直前でのムチの使い方に違反があったとして、レーン騎手に過怠金5万円の制裁を言い渡したのだ。
現行のルールでは「連続してムチを使用できるのは5回まで」とされている。さらに「5回連続してムチを使用した場合、次にムチを使用するまでには最低、2完歩以上の間隔をあけなければならない」とも定められている。
ところが今回、レーン騎手はゴール直前に「右ムチを10連打」。加えて肩より高い位置から振り下ろしており、これも違反に問われた可能性がある。
違反行為に対しては、最初は戒告が与えられるが、2回目以降は1万円⇒3万円⇒5万円⇒10万円と、過怠金が増額されていく。つまりNHKマイルCにおけるレーン騎手は、2番目に重いペナルティーを科されたことになる。
こうしたハッスルプレーは、当該馬の馬券を買っている競馬ファンには頼もしい限りだろう。しかし、調教師や馬主らにとっては「複雑な一面」が存在する。問題となるのは、ヤリすぎた騎乗が馬にもたらすダメージだ。
今回は大目標だったGIレースゆえ、陣営としても「ナットク」なのかもしれないが、これがGIを見据えたトライアルとなれば、激走の反動で本番を「台無し」にしてしまうケースが少なくないのだ。
日本人騎手は「火事場ドロボー」に遭ったようなもの
短期免許で来日中の外国人騎手にとっての至上命題は「とにかく勝って稼ぎまくる」。一方、年間を通じてお手馬に騎乗する日本人騎手の場合は、レースが馬に与えるダメージを見極めながら、最適な騎乗を心がけることが多い。
筆者がなんとも気の毒に感じるのは、短期免許の外国人騎手から日本人騎手に乗り替わって惨敗した場合だ。この時、一部の競馬ファンは「やっぱり日本人騎手は追えない」などと不満を漏らすが、実際には前走における外国人騎手の「ヤリすぎた騎乗」がアダとなっているケースが少なからず存在するのだ。
言葉は悪いが、日本人騎手にとっては「火事場ドロボー」に遭ったような気分だろう。短期免許の外国人による激走馬の次走は要注意――。馬券作戦を考える上で、覚えておいて損はない豆知識と言えるのではないか。
(日高次郎/競馬アナリスト)

