
息をのむ死闘──濃密だった東京ダービーで分かれた天国と地獄【編集長コラム】
息をのむ死闘──。2026年5月10日に開催されたJ1百年構想リーグ、FC東京と東京ヴェルディのダービーマッチを取材して素直にそう思った。
キックオフ直後から格闘技を彷彿とさせるようなボールの奪い合い、両チームともアグレッシブにゴールを狙う姿勢など、あらゆる局面で互いのプライドがぶつかり合っていた。これぞダービーマッチと、そんな印象を抱かせる試合だった。
劇的な展開だった点も、“死闘”を際立たせた要素だ。森田晃樹(29分)のゴールで先制されたFC東京は41分に室屋成の同点弾で追いつくと、PK取消などの判定を乗り越え、90+5分に長倉幹樹のループシュートで逆転。ドラマ性抜群で、ホームチームのファンにとっては最高の、アウェーチームのサポーターにとっては最悪の結末だった。
まさに天国と地獄である。それは試合後のスタジアムの景色にもくっきり表われていた。歓喜に沸くFC東京サイドと、ブーイングに包まれる東京Vサイド。このゲームに懸けた思いが見て取れるシーンでもあった。
ピッチ上で繰り広げられた攻防は、単なる勝点3を争うゲームの枠に収まりきらなかった。判定ひとつへの感情の揺れが、人間ドラマを生んでいた。
ダービーとは何か。その問いへの答えが、この一戦には凝縮されていた。勝者と敗者を分かつのは紙一重。しかし、その裏側には、クラブの歴史や誇り、そしてサポーターの想いが幾重にも重なっている。だからこそ、この日の味の素スタジアムには、他では味わえない濃密な空気が確かに漂っていた。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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