5月10日、スコティッシュ・プレミアシップ第36節(チャンピオンシップ・グループ)で、セルティックは宿敵レンジャーズを3-1で下してリーグ5連覇に望みを繋いだが、この伝統の一戦「オールドファーム」で最高殊勲者に輝いたのが、2得点の前田大然だった。
ホームのセルティックが9分で先制を許し、23分にヤン・ヒョンジュンのゴールで追いついた後、前田は53分にキーラン・ティアニーのクロスをダイレクトで合わせて勝ち越しゴールを決めると、その4分後にはペナルティーエリア内で後ろ向きにボールをトラップすると、浮き球に対して身を躍らせてオーバーヘッド。虚を突かれた相手GKは一方も動けないまま、ゴール右上隅への美弾を見守るしかなかった。
3試合連続のゴールで計5得点(公式戦では4試合連続で計6得点)を記録し、今季通算得点を12に伸ばした日本代表FWは、この試合の「マン・オブ・ザ・マッチ」に選出されるも、「全てはチームの努力の賜物」と謙虚な姿勢を失わなかったが、キャプテンのカラム・マクレガーは「ダイゼンのゴールは、それ自体が特別な瞬間だった」と賛辞を贈っている(セルティックの公式サイトより)。
マーティン・オニール監督は、「ダイゼンは試合の最初から最後まで本当に素晴らしかった」「まず守備面では、相手選手へのプレッシャーや追い込み、そこが抜群だ。あれだけのエネルギーをどこから生み出しているのか分からないほどだ。しかしそれだけでなく、今日の彼はプレー全体が見事だった。レンジャーズの守備陣に、全く落ち着く時間を与えなかった。そして、あのゴールは本当に素晴らしかった」と、背番号38の攻守にわたる働きぶりを絶賛した。
クラブも、SNSで「時代を超えて語り継がれるゴールのひとつ」、公式サイトでは「グラスゴーダービー史上最高のゴールのひとつ」「試合を決定づけたゴールは、まさに芸術的な美しさ」「信じられないようなオーバーヘッドで魔法のような瞬間を生み出した」と伝え、さらに「彼の絶え間ないエネルギーが序盤からアウェーチームに問題を引き起こした」と、彼の変わらぬ持ち味に対しても言及している。
現地メディアも軒並み彼を称賛しており、英国の日刊紙『The Guardian』は「後半は、レンジャーズにとって悪夢とも言える『前田ショー』となった。ティアニーが絶好のチャンスを提供すると、日本人FWはそれを逃さなかった。(中略)この日の前田の2点目について、指揮官は『センセーショナル』と見事に表現。レンジャーズがクロスを中途半端にはね返したところ、ゴールに背を向けた状態の前田の足元にボールが落ち、彼はボールを軽く浮かせると、そのまま常識外れとも言えるオーバーヘッドキックを放った」と報じた。
英国公共放送「BBC」は、「(前田の1点目の)ゴールの際に巻き起こった歓声が耳をつんざくようなものだったとすれば、2点目に対する反応は、もはやデシベルの限界を超えていた。日本人ストライカーが放ったオーバーヘッドキックは、GKジャック・バトランドが必死に伸ばした左手の先を無情にも越え、弧を描きながらゴールへ向かっていった。その瞬間、まるで時間が一瞬止まったかのようだった」と振り返っている。
さらに、「前田の驚異的なオーバーヘッド弾は、これから何度も何度も繰り返し映し出されることになるだろう。それは、この試合全体を通じてセルティックが主導権を奪い取っていったことを、まさに形として示す一撃だった」とも綴っているが、一方で「さらに彼はハットトリックを達成していてもおかしくなかった、いや、達成すべきだったと言える」と、逸機への指摘も忘れていない。
一方、日刊紙『Daily Mail』は、過去の名ゴールを引き合いに出し、「2000年の『6-2のゲーム』で、伝説的FWであるスウェーデン人選手ヘンリク・ラーションが決めたループシュートと比べても、前田の見事な2点目は同等の価値があるかと問われたオニール監督は次のように答えた。「本当にそのレベルだ。もちろん、ヘンリクは反対するだろうが(笑)。しかし、本当に素晴らしいゴールだった。蹴った瞬間、私は入ると分かった。本当に信じられなかった』」と伝えている。
スコットランドの日刊紙『Daily Record』は、「栄光のダイゼン」と見出しを打ち、「もしこれが彼にとって最後のオールドファームになるのだとしたら、これ以上ない締め括り方だろう。夏に退団すると見られている前田は、クラブに信じられないような“最後の贈り物”を残そうとしているのかもしれない。(中略)これから先に何が起ころうとも、前田は現代セルティックの偉大な選手として語り継がれることになるだろう」と、その偉大な仕事ぶりを強調した。
『THE SCOTSMAN』は10点満点の採点でチーム最高タイとなる「9」を与え、「セルティックと前田の“蜜月関係”は完全に復活した。試合序盤からのプレッシングはレンジャーズ守備陣をパニックに陥れ、後半にはその働きによってチームに勝利をもたらした。あのオーバーヘッドキックは、パークヘッドでこれまでに生まれたゴールの中でも屈指のものとして、歴史に刻まれるだろう。圧巻の出来だった」と大絶賛している。
そして、地元グラスゴーの総合メディア『Glasgow World』は「前半には大きな決定機を逃したものの、その動き出しはレンジャーズに数々の問題を引き起こした。なかでも際立っていたのは、見事に決め切ったゴールだ。もし今夏に移籍することになるなら、これが彼にとって最後のダービーになる可能性もある。そして、あの3点目……いやはや、言葉を失うほどだった。最高評価を与えるに十分な、見る者を魅了する一撃。しかも、これ以上ない大舞台で決めてみせた」と綴り、採点は「10」の満点(もちろん単独最高)を付与した。
構成●THE DIGEST編集部
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