プレミアリーグ第36節で首位アーセナルが敵地でウェストハムを1-0で下し、悲願のリーグ制覇へ大きく前進した。しかし、その試合後に大きな議論となったのは、勝敗そのものではなく、後半アディショナルタイムに取り消されたホームチームの同点ゴールだった。
83分にレアンドロ・トロサールが決勝点となる先制ゴールを挙げた後、ウェストハムは終了間際にカラム・ウィルソンが押し込んで土壇場で追いついたかに見えた。しかしVAR担当のダレン・イングランド審判員と主審クリス・カバナーが長時間にわたって映像確認を行ない、最終的にパブロ・フォルナルスがGKダビド・ラヤにファウルを犯していたとして得点は無効となったことで、スポーツ専門チャンネル『ESPN』は「VAR史上でも最大級の判定のひとつかもしれない」と、その重大性を強調している。
もちろん、この判定にウェストハム側は強く反発。同メディアによれば、キャプテンのジャロッド・ボーウェンは「5分も画面を見ていれば、何かしら見つかる。CKでは引っ張り合いや接触があるものだ」と不満を爆発。「プレミアリーグはフィジカルなリーグで、それこそが魅力だ。もし、あれをファウルにするなら、毎試合全ての接触を取らなければならない」と訴え、さらに「ファンはゴールを喜んだ後に8分も待たされ、最後に取り消されるなんてことを望んでいない」と、VAR運用そのものにも疑問を呈した。
ヌーノ・エスピリト・サント監督も、「今や審判自身ですら、何がファウルなのか分かっていない。選手たちは混乱し、苛立っている」とコメント。「プレミアリーグのあらゆるCKで、同じようなことが起きている。問題は一貫性の欠如だ」と語り、判定基準の曖昧さを批判している。
さらに英国の日刊紙『The Guardian』は、ウェストハムが審判組織「PGMOL(プロ審判協会)」へ正式に説明を求める方針だと伝えた。クラブ側は、カバナー主審とVAR担当イングランド審判員の音声開示も求める見込みで、「なぜパブロだけが反則を取られたのか、明確な説明が必要」と主張。仮にゴールが認められていれば、ウェストハムは残留争いで大きな勝点1を得ていた可能性があった。
一方で、この判定を支持する声も少なくない。『ESPN』によれば、アーセナルのミケル・アルテタ監督は「非常に勇気ある判定だった」と審判団を称賛。「混乱や大歓声の中から離れ、冷静に映像を確認して正しい決断を下した。あれは明確なファウルだった」と語った。さらに、「2つのビッグクラブの運命を左右する瞬間であり、審判にかかるプレッシャーは計り知れない」と理解を示している。
マンチェスター地元紙『Manchester Evening News』は、元イングランド代表で現在はコメンテーターを務めるガリー・ネビルの見解を紹介。「パブロの腕はラヤにずっと掛かっており、動きを妨げていた。私はファウルだと思う」と指摘し、「VARにその決断を下す勇気があるかが問われていた」と述べた。
また『ESPN』のVAR検証記事では、「正しい判定だった」と明確に結論づけられている。VAR担当のイングランド審判員は、複数の選手同士の接触を慎重に確認した上で、「パブロの腕がラヤの胸部を横切り、GKの動きを明確に妨害していた」と判断。主審へのオンフィールドレビューを勧告し、カバナー主審も同意したという。同記事は、「これこそVARが導入された理由であり、高圧的な状況下で技術がポジティブに機能した例だ」と評価した。
ただし、問題は「判定の正否だけではない」とする声も強い。『The Guardian』紙は、「数十億ポンド規模のタイトル争いと残留争いが、モニター前で腕の位置を解析する審判に委ねられた」と皮肉を込めて報道。「17回ものリプレー確認が行なわれた」とし、「アー
セナルがセットプレー時の激しい競り合いを武器としてきたことを考えると、皮肉な結末でもある」と論じ、さらに「55対45程度の微妙な判定だったが、最終的には正しかった」としながらも、「そもそもVAR介入基準を満たしていたのかという問題は残る」と指摘している。
サッカー専門サイト『football.london』も、「問題はゴールの取り消しではなく、決断に時間がかかりすぎたことだ」と批判。「17回ものリプレーを確認した事実は、主審自身が“明白な誤審”だと確信していなかったことを示している」と指摘。また、同じ場面でアーセナルのデクラン・ライスがディノス・マブロパノスに対してファウルを犯していた可能性が検証されなかった点にも言及。「セットプレーでの引っ張り合いと“レスリング状態”を、PGMOLはもっと厳格に取り締まる必要がある」と主張している。
そして最後に『ESPN』は、アルテタ監督が2週間前にはチャンピオンズ・リーグでのVAR判定に激怒していたことを挙げ、「人々は自分たちに有利ならVARを歓迎し、不利ならゲームを壊したと批判する」と皮肉った上で、「VARは論争をなくすためではなく、重大な判定を最終的に正しいものにするために導入された」と説明。「今回のケースでは、ウェストハムや(2位の)マンチェスター・シティには痛手となったが、VARは『得点に繋がる反則』を正しく見つけ出した」と結論づけた。
構成●THE DIGEST編集部
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