フィギュアスケート女子でミラノ・コルティナ銀メダリストの坂本花織さんが5月13日、地元の神戸市内で引退会見を行なった。21年間のスケート人生を振り返り、恩師や母親への感謝を語った。
坂本さんは純白のジャケットとパンツで登壇。会場にはサイン入りの白いスケート靴が飾られ、報道陣には感謝の言葉を直筆で綴ったメッセージカードが配布する心遣いがあった。
引退を決断した時期については「(2022年の)北京五輪が終わって、次の4年がラストだと覚悟していた。そこで腹をくくっていた」と明かす。改めて現役生活について問われると、「現役で一生懸命練習するっていうのはすごく青春だなと感じている」と表現。「ひと言では表せないくらい、いろんな景色を見てきた。まさか自分が最後にこんな形で終われるとは思っていなかった」と振り返った。
21年間、スケートを頑張れた原動力については「(指導を受ける)中野先生が常に具体的な目標を言ってくれる、自分が頑張ればできそうな目標を掲げてくれた。『次は〇〇を目指そう』と。自分もそれに出たい!という思いで一生懸命練習に取り組むことができた」と笑みを浮かべ、恩師への感謝を口にした。
会見の冒頭には、所属するシスメックスが制作した幼少期の映像や写真などで功績を振り返るサプライズVTRが流れ、目には涙が頬を伝った。「(小さい頃は)笑顔で滑っているので、本当に楽しそうだなと思った。コケても笑っていたので、ただただスケートが好きで頑張れていたんだな」と懐かしく回顧する。
なかでも母親や中野コーチの手紙には「やられました」と再び目頭を熱くした。「(母親には)小学生ぐらいまでは近くにリンクがなかったので、大阪までの送迎を運転してくれたりしてもらった。ノービスやジュニアの成長期には食事管理など母親には本当に感謝してます」と頭が上がらなかった。
坂本さんは幼少期から拠点を変えることなく、地元である神戸を中心に競技生活を終えた。現役時代は、さらなるレベルアップを図るため海外に拠点を移すトップ選手も少なくないなか、異例ともいえる。会見の中でその点を問われると、神戸を離れられなかったワケを率直に明かす。
「振り付けで海外へ行くことも多くて、技術面の指導は分かりやすくていいなと思うこともあった。中野先生、グレアム先生を超える先生がいなかった」 スケートの師は、人生の師でもあった。技術面だけでなく、人としての成長も支えられたと感謝の言葉は尽きなった。
「中野先生、グレアム先生はフィギュアの技術だけでなくて、私生活も、生きていくうえでマナーも大事になると、いろいろなことを教えていただいた。今も教えに助けられて、世に出ても恥ずかしくないようにしてくださったので、まともに生きることができています(笑い)」
引退後は指導者の道を歩む。目標は二人三脚で歩んできた中野コーチだ。五輪後のエキシビションでは「令和版の中野先生でいきたい。愛もあって、厳しくできるコーチになれたらいいな」と将来の夢を語っていたが、それは今もブレない。「技術だけじゃなく人間性の部分でもいろいろ伝えたい。人間性は自分でもまだ未熟なので、そこを吸収して後輩たちに教えていけるように。技術面はそれぞれの子にあったものを、自分らしく指導できるようにしたい」と意気込んだ。
令和版の中野園子に――。日本フィギュア界の歴史を塗り替えてきた稀代の女王は、改たなステージへと歩み始める。
なお、会見の締めの挨拶では「この場を借りて、もう一つ報告があります」と前置き。お昼過ぎの日本列島を騒然とさせるビッグサプライズを発表し、日本フィギュア史に残る引退会見となった。
「私事ではございますが、先日(5月5日に)結婚いたしました。大学時代に出会った同い年の方です。(Q.どんな方ですか?)本当に(性格が)真逆な方で、常に冷静で物事を考える人で。でも楽しむことを忘れず、一緒に面白いことをしたりしてくれる人です」
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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