押し入れから出てきた絵本
実家を出るための片づけをしていた私は、押し入れの奥から子どものころの絵本を見つけました。表紙には小さなクレヨンの落書きがあり、それを見ているうちに、ずっと胸の中にあったモヤモヤがふくらんできたのです。母は仕事と家事で一日中忙しくしていて、子どものころの私はいつも「お母さんは私のことを後回しにしている」と感じていました。覚えているのは、夕飯のあとに書類を広げる母の背中ばかりです。本当にあのとき、母は私のことを大切に思ってくれていたのでしょうか。
思わずぶつけた質問
夕食を終えてお茶を飲みながら、何気ない会話を交わしていたときでした。私は箸袋を折ったり広げたりしながら、母にこう聞いてしまったのです。「私を産んで後悔してる?」。聞いてから、子どもじみた質問だと自分でもわかっていました。それでもどうしても、確かめてみたかったのです。それから「ちょっと待ってね」とだけ言って、エプロンのポケットからスマホを取り出したのです。
