競馬界ではC・ルメール騎手が先週5勝し、リーディングのトップを独走中だ。現在のペースなら、あと14勝となったJRA通算勝利数2200の達成は時間の問題だろう。ルメールがここに至るまでを見ておきたい。
日本での騎乗は2002年から始まり、以降は一度も途切れることなく毎年、騎乗してきた。ターニングポイントは、14年目の2015年にJRA通年騎手免許を取得したこと。以降、11年連続して年間100勝以上の成績を残してきた。2018年には年間215勝を挙げ、それまでの年間最多勝記録だった武豊(2005年)の212勝を更新している。
こうして日本で大成功を収めたが、その大きな理由は日本の競馬に深い愛情を抱いて接してきたこと。来日する以前に、ペリエから日本の競馬の素晴らしさを聞かされていたと思うが、いざ来てみれば、思った以上だった。
競走馬、牧場、種牡馬、繁殖牝馬、そして競馬ジャーナリズムに至るまで、いずれも世界のトップレベルにあると痛感したのだ。
これは大きかった。そして有馬記念でJRA・GⅠをともに初勝利したハーツクライの存在を見落とすわけにはいかない。ルメールはGⅠを数多く勝ってきたが、一番の思い出の馬として必ず、ハーツクライを挙げる。ルメール伝説はこの馬から始まったのだから、それも当然だろう。
あのような名馬に出会うことがあるから、腰を据えて日本で騎乗することにしたのだ。
ところが近年の発言を見ると、現役生活はそう長くはないようだ。「できることなら辞めるまでに、凱旋門賞を勝っておきたい」だとか…。母国の大レースだけに、その気持ちは日本の騎手以上に強いのだ。
ヴィクトリアMは距離適性から「カムニャックより分がある」
さて今週は、土曜は新潟で7鞍、日曜は東京で6鞍に騎乗する。ハイライトはもちろん、エンブロイダリーで挑む日曜のヴィクトリアマイル(GⅠ、芝1600メートル)だ。エンブロイダリーは桜花賞、秋華賞を制し、昨年のJRA賞最優秀3歳牝馬に選出された馬だ。同期のオークス馬カムニャックとの対決が見ものだが、距離適性からして、こちらに分があるとみている。おそらく1番人気だろうが、それにふさわしい走りを見せてくれるに違いない。
土曜の新潟大賞典(GⅢ、芝2000メートル)で騎乗するドゥラドーレスも有力だ。重賞に手が届きそうで届かない歯痒い馬だが、ルメール自身「トップクラスの馬」と高く評価している。そろそろ勝っていい頃。直線の長い新潟の外回りを味方にして、自慢の末脚を爆発させることだろう。
(兜志郎/競馬ライター)

