F1第18戦のシンガポール・グランプリ、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは“伏兵”ジョージ・ラッセル(メルセデス)には及ばず、3連勝こそ逃したものの、マクラーレン勢を予選、決勝ともに抑えて2位入賞を飾った。
昨季までに4年連続でチャンピオンシップを制してきた史上最強の呼び声高いドライバーは、しかし今季は圧倒的な速さを誇ってきたマクラーレンの後塵を拝し、シーズンの早い段階で5連覇は不可能として本人も諦めのコメントを発していたほどだった。だが、ここにきてにわかに状況は変わってきた。
フェルスタッペンをしても完全にコントロールするのが難しいといわれていた「RB21」が、改良によって性能が向上。第16戦イタリアGPで9戦ぶりにポールポジションを奪うと、決勝では2位のランド・ノリスに19秒差をつけてトップチェッカーを受け、続くアゼルバイジャンGPでは複雑なコンディションの中でライバルが崩れたのとは対照的に、終始安定した速さを維持してポール・トゥ・フィニッシュを達成してみせた。
もっとも、この2戦はレッドブルがその強みを活かせる高速サーキットが舞台だったこともあり、フェルスタッペンが真の復活を遂げたか否かを確認するうえでも、過去に彼が一度も勝利を挙げておらず、年間19勝を挙げた2023年ですら5位に沈んでいた“鬼門”のシンガポールでのパフォーマンスが注目された。そして、果たせるかな、勝利こそ逃したものの、マクラーレン勢に対しては最後まで優位を保った。
英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「フェルスタッペンが予選と決勝の両方で、ラッセルに最も迫るチャレンジャーとなったことは、レッドブルにとって大きな意味を持っている。というのも、レースペースでは及ばなかったとはいえ、マクラーレンに対して予選で上回ったことが、決定的なトラックポジションを得ることに繋がったからだ」と指摘している。
「彼が今季、鈴鹿(日本GP)での勝利を含め、序盤に見せたジャイアントキリングと言うべき快進撃は、空力的に妥協の大きいサーキットで、低ドラッグのセットアップを機能させたことによるものだったが、一方で大きなダウンフォースを要するコースで同じような展開になることは、これまでになかった」
フェルスタッペンは、モンツァ、バクーに続いてシンガポールでも速さを発揮できたことが、今後に向けて非常に有望だと語り、チーム代表のロラン・メキースも「それはとても大きな意味を持つ。我々が解き明かしたものは、低ダウンフォース専用のものではない」と強調。さらにマクラーレンのアンドレア・ステラ代表でさえ、直近3戦の結果を「レッドブルが自チームの弱点を本格的に克服しつつある証拠だ」と認めている。 同メディアは、この改善ぶりについて「フロア周りを中心とした集中的かつ継続的な開発、そしてシンガポールで追加投入された新型フロントウイングの成果だ。こうした巻き返しによってフェルスタッペンは、僅かではあるが、タイトル争いに望みを残すことになった」と綴ったが、同時に「しかしその進歩には、大きな代償を支払った可能性がある」とも指摘する。
「メキース代表は、今季これほど長く『RB21』の開発を続けてきたことが、2026年の大幅なレギュレーション変更に向けての準備に影響を及ぼすと認めている。マクラーレンを含む他のチームは、ずっと早い段階で、開発の焦点を完全に2026年に焦点を移しているからだ。これは驚くべきリスクである」
それでもなお、RB21の開発を継続するというリスクを冒した理由は「単にフェルスタッペンを今季喜ばせるためではない」という。「レッドブルは長い間、開発面で停滞しており、昨季の低ダウンフォース・サーキットでの苦戦や、縁石走行での長年の弱点を克服することが不可欠だった」と、今後に向けて不可避のものだったということだ。
メキース代表も、「この現行のプロジェクトがまだRB21から性能を引き出せるのか否かを理解するのは、非常に重要なことだったし、今もそうだ。次のプロジェクトを進めるうえで、たとえ来季のレギュレーションが全く違うものであっても、同じツールと手法で取り組むからだ。我々がデータをどう分析し、どう開発しているのか――それが正しいことを、今季の車で検証する必要がある。それが、来季の開発に向けても自信に繋がる」とコメントを残している。
彼はまた、「もちろん、2026年のプロジェクトに対して代償を支払う必要があるのは間違いない。しかし我々にとっては、それが正しいトレードオフだと感じている。他のチームが何をしているかは気にしていない」とも付け加えた。
フェルスタッペンは、シンガポールのレースではマシンバランスに不満を抱き、タイヤマネジメントにも苦しんだが、それでもRB21にはさらなる潜在能力があると認め、「ここ数戦で間違いなく大きく改善した。週末を通して幾つか試したことがあって、それを次のレースでも見直す必要があるだろう」と語った。一方、角田裕毅は12位に終わったシンガポールでグリップ不足に苦しんだものの、決勝でのペースには満足感も示しており、こちらも進化と課題の両方が見て取れたものである。
レッドブルの開発続行が今季チャンピオンシップの行方、両ドライバーのパフォーマンスと結果、そして来季から始まる新時代のF1にいかなる影響を及ぼすことになるのか。非常に興味深いところである。
構成●THE DIGEST編集部
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