5月17日、春の古馬牝馬チャンピオン決定戦にあたるヴィクトリアマイル(GⅠ、東京・芝1600m)が行なわれる。
戦前の評判は“二強対決”。つまり、昨年の牝馬三冠を分け合った2頭のGⅠホース、桜花賞(GⅠ)と秋華賞(GⅠ)を制したエンブロイダリー(牝4歳/美浦・森一誠厩舎)、オークス(GⅠ)に勝ったカムニャック(牝4歳/栗東・友道康夫厩舎)である。今年はGⅠホースとして他に、一昨年のオークス(GⅠ)、秋華賞を制したチェルヴィニア(牝5歳/美浦・木村哲也厩舎)が出走するが、近走は不振をかこっており、能力通りの評価はし難い現状。ゆえに、今年のヴィクトリアマイルが“二強”であることに間違いはないだろう。
では、“二強”の後先(あとさき)はどう決めればいいのか。そのひとつの指標となる「東京実績」を比べてみると、エンブロイダリーは〔2・1・0・1〕、一方のカムニャックは〔2・0・0・1〕でほぼ互角。そこで直接対決になった前走の阪神牝馬ステークス(GⅡ、阪神・芝1600m)では、エンブロイダリーが逃げ切って優勝。先団から追走したカムニャックはそれをつかまえ切れず、わずかクビ差で2着という結果に。しかし着順はエンブロイダリーが上だが、彼女が1000mの通過が58秒1という理想的なミドルペースに恵まれたことを考えれば、カムニャックは互角がそれ以上の能力を示したと考えられよう。スピードだけではなく、タフさも要求される府中のマイル戦においてこの要素は大事で、本稿では本命がカムニャック、対抗はエンブロイダリーという順に評価としておく。
ただし、この2頭には同様なウィークポイントがある。レースが近づくにしたがってテンションが上がりすぎてしまう、いわば気性の問題だ。記者会見で、カムニャックの友道康夫調教師は「馬房の中では落ち着いているのですが、競馬に行くとすぐスイッチが入ってテンションが上がるようなところがありますので、そこだけは注意しています」と語り、エンブロイダリーの森一誠調教師は「去年のオークスのときに少し入れ込んで大敗してしまいましたので、いかに良い精神状態で(騎手に)バトンを渡せるかというところだと思います」とコメントしている。
レースの開始を告げるファンファーレやファンの歓声を聴いて興奮した仕草を見せる馬が少なからずいるのは周知の事実だが、JRA競走馬総合研究所の調査では、競馬場の出張馬房に入り、遠くから聴こえる歓声を耳にしただけで心拍数が上がることが確認されている。ゆえに、サラブレッドの聴覚や空気を感じる能力はとても繊細だ。この“二強”とて例外ではなく、一角が崩れる可能性はあると見る。 一角崩しを狙える逸材として挙げたいのは、ベテランのカナテープ(牝7歳/美浦・堀宣行厩舎)だ。本馬は昨年オープン入りした遅咲きタイプだが、重賞初挑戦となった府中牝馬ステークス(GⅢ、東京・芝1600m)でいきなり2着に食い込むと、次走の関屋記念(GⅢ、新潟・芝1600m)では1分31秒0の好時計で重賞初制覇を果たした。
その後、アイルランドトロフィー(GⅢ、芝1800m)で3着したあとはエリザベス女王杯(GⅠ、京都・芝2200m)が15着、阪神牝馬ステークス(GⅡ、芝1600m)が6着と連敗しているが、これは“回り”の問題だろう。カナテープは右回りの〔0・0・0・5〕に対して、左回りは〔5・4・4・2〕という、典型的な“サウスポー”。なかでも東京コースは〔4・4・2・1〕で、着外の〔1〕も4着と、崩れがほとんどない。7歳のベテランではあるが、このストロングポイントを活かしての一発に期待したい。
4番手以下の連下には5頭を推奨。重賞3勝を誇り、昨年のヴィクトリアマイルで勝ったアスコリピチェーノにクビ差、同タイムの2着に入った実績を持つクイーンズウォーク(牝5歳/栗東・中内田充正厩舎)。昨年の秋華賞で4着に健闘し、前走の小倉牝馬ステークス(GⅢ、小倉・芝2000m)を強烈な決め脚で制したジョスラン(牝4歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)。まだ重賞勝ちはないが、昨年の秋華賞3着、エリザベス女王杯2着と、GⅠでも引けを取らないパラディレーヌ(牝4歳/栗東・千田輝彦厩舎)。〔1・2・1・1〕と東京コースを得意とし、昨年はアイルランドトロフィー(GⅢ、東京・芝1800m)に優勝、今年は2月の東京新聞杯(GⅢ、東京・芝1600m)で2着しているラヴァンダ(牝5歳/栗東・中村直也厩舎)。昨年の秋華賞で2着し、逃げ・先行を得意とする武豊騎手の4連続騎乗が不気味なエリカエクスプレス(牝4歳/栗東・杉山晴紀厩舎)。ここまでを推しておく。
最後に大穴候補を挙げるならば、近走はムラ駆け傾向が強まっているが、サウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ、東京・芝1600m)の連対経験があり、昨年の東京新聞杯(GⅢ、東京・芝1600m)で2着に食い込んだこともある実力馬ボンドガール(牝5歳/美浦・手塚貴久厩舎)となるだろうか。
文●三好達彦
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