高額療養費制度 ひろがる日本の〈健康格差〉
西村 章
2026年4月17日発売1,155円(税込)新書判/288ページISBN: 978-4-08-721407-9
医療費が高額になった場合、自己負担額を一定に抑える「高額療養費制度」。
自己免疫疾患の治療で長年この制度を利用してきたジャーナリストは、2024年冬に政府が発表した「改悪」案に不安と憤りをおぼえ、取材を開始する。
疾患当事者や研究者、政治家などの証言が浮き彫りにしたのは、健康に「格差」がある日本社会の現状や、セーフティネットとして十分に機能せず、〈世界に冠たる〉とは到底いえない医療保険制度の姿だった。複雑で入り組んだ高額療養費制度の問題を、一般書として初めて平明かつ多面的に解明する!
◆目次◆
第1章 高額療養費制度とは何か
第2章 part1 政治的・財政的背景から読み解く〈見直し〉案
第2章 part2 患者団体は〈見直し〉案凍結と変更をどう実現させたのか?――天野慎介氏に訊く
第3章 2024・2025年の〈見直し〉案をひもとく――安藤道人氏に訊く
第4章 高額療養費制度に潜む「落とし穴」を検証する――五十嵐 中氏に訊く
第5章 「魔改造」を施された日本の医療保険制度と高額療養費――高久玲音氏に訊く
第6章 part1 司法の視点から高額療養費制度を検証する――齋藤 裕氏に訊く
第6章 part2 立法の視点から高額療養費制度を検証する――中島克仁氏に訊く
第7章 「健康格差」解消のために、どのような医療保険制度を構想すればよいのか?――伊藤ゆり氏に訊く
第8章 大局的な視野から日本の医療保険制度と高額療養費制度を考える――二木 立氏との一問一答
増補改訂版「差別はいけない」とみんないうけれど。
綿野 恵太
2026/1/71,210円(税込)320ページISBN: 978-4022621153――推薦 読書猿
「ずるい」が幅をきかす世界で、私達はこの本を以前よりずっと必要としている。
――解説 千葉雅也
本書の最大の功績は、アイデンティティvs.シティズンシップ(市民権)という対立を明確化したことだ。……(一部抜粋)
「なぜ、差別はなくならないのか?」
誰もが一度は抱く問いに「自由主義」と「民主主義」の矛盾から切り込む。差別を生み出す政治的・経済的・社会的背景に迫る、多様性時代の必読書。
文庫化に際し、大幅な加筆修正を施したうえで、新章として「道徳的にも弱い私たち」と、千葉雅也氏の解説を追加。
本書のタイトルは『「差別はいけない」とみんないうけれど。』である。
誤解されても困るので、最初に本書の立場をはっきりとさせておこう。「差別はいけない」というのは大前提である。職場やキャンパスでセクハラをしてはいけないのは当然だし、在日外国人へのヘイトスピーチをネットに書き込むことも許されない。このような認識は常識化しつつあり、みんなが差別はいけないという時代になりつつある。
しかし、世の中には「差別はいけない」と言われることに反感を覚えるひとたちも存在する。本書は、そうした反感にも、それなりの理由があると考える。セクハラやヘイトスピーチが後を絶たないのは、「差別はいけない」と叫ぶだけでは解決できない問題があるからだ。
本書は、彼/彼女らの反発を手がかりにして、差別が生じる政治的・経済的・社会的な背景に迫っていきたい。『「差別はいけない」とみんないうけれど。』というタイトルにはそんな意味が込められている。
(本書の「まえがき」より抜粋)
【目次】
まえがき
みんなが差別を批判できる時代――アイデンティティからシティズンシップへ
第1章 ポリティカル・コレクトネスの由来
第2章 日本のポリコレ批判
第3章 ハラスメントの論理
第4章 道徳としての差別
第5章 合理的な差別と統治功利主義
第6章 差別は意図的なものか?
第7章 天皇制の道徳について
あとがき
ポリティカル・コレクトネスの汚名を肯定すること、ふたたび
増補
道徳的にも弱い私たち――文庫版あとがきに代えて
解説
千葉雅也(アイデンティティとシティズンシップの狭間で)

