
そこで本稿では、映画批評を集積・集計する「ロッテン・トマト」を参考に、この『ミイラ再生』から始まった“ユニバーサル・モンスターズ”の「ミイラ」シリーズと、そこから端を発した複数のリブート作品のなかから、批評家の評価が高い順に10作品をピックアップ。いまなおホラー界で独特の存在感を放ちつづける「ミイラ」映画の歴史を紐解いていきたい。
「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。
好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されるように。映画館に掲示されたポスターに堂々と輝くトマトのマークを見たことがある方も多いだろう。

それでは、「ミイラ」映画の“フレッシュ”10傑を挙げていこう。
■92%フレッシュ『ミイラの幽霊』(59)
■90%フレッシュ『ミイラ再生』(32)
■64%フレッシュ『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』(99)
■60%フレッシュ『ミイラの復活』(40)
■46%ロッテン『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』(01)
■46%ロッテン『THE MUMMY / ザ・マミー 棺の中の少女』(26)
■40%ロッテン『ミイラの呪い』(44)
■40%ロッテン『スコーピオン・キング』(02)
■33%ロッテン『執念のミイラ』(44)
■29%ロッテン『ミイラの墓場』(42)
■ハマー・フィルム版第1作が“元祖”を上回る高評価!

まず今回のリストの対象になった作品を簡単に紹介していこう。まずは1930年代から1950年代にかけて製作されたユニバーサル・モンスターズの6作品と、1950年代後半から1970年代前半にかけてのハマー・フィルム・プロダクションによるリブートシリーズ4作品。『ミイラ再生』の再リブートとして1999年にスタートした「ハムナプトラ」シリーズと、そのスピンオフにあたる「スコーピオン・キング」シリーズ。
さらにユニバーサル・モンスターズを現代によみがえらせる目的で2010年代に始動したものの、興行的・批評的失敗によって計画見直しを余儀なくされた“ダーク・ユニバース”の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(17)と、直近の最新リブートである『THE MUMMY / ザ・マミー 棺の中の少女』(公開中)の計20作品。しかし「ロッテン・トマト」でスコア化されていない作品もあり、実際に比較できたのは13作品のみとなっている。

そんななかでもっとも高い評価を獲得したのは、ハマー・フィルム版の第1作となる『ミイラの幽霊』の92%フレッシュ。「フランケンシュタイン」シリーズや「ドラキュラ」シリーズなど、ハマー・フィルムでホラー映画の傑作を多数生みだしたテレンス・フィッシャー監督がメガホンをとり、当時30代で怪奇映画界のスターだった名優クリストファー・リーがミイラ男役を熱演。『ミイラ再生』のリメイク作品であるが、『ミイラの復活』などシリーズ作の要素も織り交ぜられている。
もちろん“「ミイラ」の元祖”である『ミイラ再生』も90%フレッシュの高評価を獲得。同じユニバーサル・モンスターズの『フランケンシュタイン』(31)で怪物役を演じたボリス・カーロフがミイラ男を演じた同作。一般的に「ミイラ」と聞いて多くの人がイメージする包帯ぐるぐる巻きの姿はほとんどなく、それが定着するのは第2作以降のこと。この2作を除くと低評価が目立っているが、それは批評家受けしづらいジャンル映画特有の現象。それでも現代まで繰り返しリブートされていることが、「ミイラ」人気の証左といえよう。

2度目のリブートとして製作された「ハムナプトラ」シリーズは、ブレンダン・フレイザーが主演を務め、従来のような怪奇映画ではなくホラー要素のある冒険映画として人気を博した。第1作が64%フレッシュと、このリストのなかで3番目に高い評価を得た一方、第3作『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(08)は対象13作品のなかでもっとも低評価に。興行的にはまずまずの結果を出したものの、予定されていた続編の製作は中止となり、シリーズは終了することに。
それでも2020年代に入り、一時的に表舞台から退いていたフレイザーが華々しい復活を遂げたことをきっかけに続編の計画が再浮上。フレイザーやレイチェル・ワイズらシリーズの主要キャストが再登板し、“レディオ・サイレンス”のマット・ベティネリ=オルピン&タイラー・ジレット監督のメガホンのもと、2026年秋から撮影がスタート。北米公開は当初の予定から半年以上前倒しの2027年10月に設定されており、その期待値の高さが窺えるだろう。

先述の通り、『ミイラ再生』の3度目のリブートである『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』が15%ロッテンという低評価に終わったことで“ダーク・ユニバース”は事実上終了することになったわけだが、ユニバーサル・モンスターズを現代に復活させるプロジェクト自体は単体の作品で継続している。その流れのなかで作られたのが、リー・クローニン監督による『THE MUMMY / ザ・マミー 棺の中の少女』だ。
ジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクションズと、ジェームズ・ワン率いるアトミック・モンスター、そして「IT/イット」シリーズや「死霊館」シリーズのニュー・ライン・シネマという豪華布陣で製作された同作ではミイラのイメージを刷新。これまでの「ミイラ」映画とは一線を画す新たなアイデアが盛り込まれ、ストーリーなども独自のものに。これを機に、また「ミイラ」映画はさらなる進化を遂げることだろう。
文/久保田 和馬
