大相撲夏場所で、西前頭13枚目の玉鷲が初日から8連敗。関取衆で負け越し第1号になってしまった。41歳の玉鷲は今場所、幕内在位100場所目のメモリアルなのだが…。
8日目(竜電戦)は33秒7の接戦となったものの「つきひざ」という力負けで終わってしまった。馬力が身上の玉鷲がなぜ…と思うが、初日の前日、準備運動の最中に右足を負傷。
「軽い肉離れということですが、右足に負担がかかれば大ケガになる」(相撲担当記者)
それでも土俵に上がっているのは「角界の鉄人」という異名で幕内連続出場記録(歴代3位・1145回)を継続中だからだ。
2022年のコロナ禍では7月の名古屋場所で、所属する片男波部屋でクラスターが起きたため、13日目から途中休場を余儀なくされた。連続出場が途切れた形になったが、
「相撲協会が特例を出して、連続出場は途切れずに継続扱いとなりました」(前出・相撲担当記者)
この直後の秋場所で自身2度目となる、37歳10カ月での幕内最高優勝(13勝2敗)を果たす。これが1958年以降で「史上最年長優勝記録」という快挙になった。
「玉鷲はコロナの時の連続優勝の継続措置に、いたく感激していました。どんな状況になっても絶対に休まない、と誓った瞬間でした」(相撲協会OB)
「みなさん、甘いよ。まだ7日ある」
もはや十両陥落は「確実」な状況になっている。そのまま引退という選択肢もあるが、
「みなさん、甘いよ。まだ7日ある」
と報道陣に話すなど、気持ちは切れていない。問題の多いモンゴル勢力士にあって、日本の「相撲道」にこよなく心酔しているひとりだが、現役を続けなければならない事情がある。引退後も協会に残るために必要な「親方株」の問題だ。
最高位は関脇、幕内通算100場所に2度の最高優勝と、協会に残るための「要件」は全てクリアしている。2024年に日本への帰化を完了している。ところが、
「親方株はわずか105しかない。70歳までの再雇用に加え、片男波部屋は小部屋で、師匠(元関脇・玉春日)はまだ50代。定年までまだ多くの時間がある」(前出・相撲協会OB)
玉鷲が親方株を所有している、との情報は聞かない。万が一、引退となれば、これだけの大功労者が相撲界からいなくなる選択肢がチラつく…。
(小田龍司)

