
北条司原作の伝説的アニメ「キャッツ・アイ」の新シリーズが9月26日からディズニープラスのスターで全世界に独占配信中。同作は、1981年から1984年の間に「週刊少年ジャンプ」で連載された同名漫画を原作とした完全新作アニメ。昼は喫茶店を営み、夜は美術品を盗む怪盗キャッツアイという2つの顔を持つ美人三姉妹・瞳、泪、愛の華麗なる盗みのシーンやアクション、怪盗と刑事の恋など、原作に忠実に描きながらも現代版にアップデートされている。
そんな今作で、次女・瞳役の小松未可子、長女・泪役の小清水亜美にインタビューを実施。アフレコ時のエピソードや役作りについて、それぞれのターニングポイントとなった出会い、“心を盗んで離さないもの”などを聞いた。
■小松「家族から『瞳!? そんな要素、ある?』と…」
――完全新作としてアニメ化される今作ですが、お二人の「キャッツ・アイ」に対するイメージを教えてください。
小松:原作が始まった頃、私はまだ生まれていませんでしたが、それでも、作品も楽曲も知っていましたし、三姉妹が怪盗で、というベーシックな情報はいつの間にか知っていました。そのくらい自然に刷り込まれていた作品ですね。
小清水:私は再放送世代で、学校を終わって家に帰ってテレビをつけると放送されていたイメージです。当時は、女性が異性に頼ることなしに目的を自分たちの力で達成しようとする自立感もとても新しく、格好良く感じられました。友達と「キャッツ・アイごっこ」もしていましたね。
――ティザー予告が解禁されて、SNSなどでも大反響が上がりましたが、周囲の反響はいかがでしょうか?
小松:家族から「瞳!? そんな要素、ある?」みたいな感じで驚かれました。以前から「キャッツ・アイ」のファンである親からもプレッシャーが来ましたが、アニメを見てどう思ってくれているかは、まだ聞けていません(笑)。
小清水:私は同級生の友達から「レオタードを着るの?」と言われました(笑)。もちろんそれはネタで聞いてくるんですが、そういう質問をするのはセンスがあるなと思っています。普段あまりアニメを見ないタイプの友達からも連絡をもらって、「亜美に色気を感じたことがないから、どんなお姉様をやるのか、お母さんみたいな気持ちで見ちゃうかも」とも言われました。

■小清水「『三姉妹以外のキャラクターを』という…」
――演じる上で以前の映像作品の声を意識した部分はありますか? 収録時に特に苦労された点や、手応えを感じた部分も含め教えてください。
小松:テープオーディションでは以前のアニメを見返して「そのイメージをなるべく持っていきたいな」と声を作っていきましたが、スタジオに呼ばれたとき、「一回リセットして、新しく作り上げるのはどうですか」というアプローチを頂いて、頭が真っ白になってしまって。戸田恵子さんの演じられた瞳のイメージがとても強いですからね。「これは現場で作っていかないと分からないかも」と、ドキドキでした。
小清水:テープオーディションの段階では「三姉妹以外のキャラクターを」という指名だったのですが、原作が大好きなので、「三姉妹の声もテープオーディションで提出してよろしいでしょうか?」とお伺いして、快諾していただきました。今の自分の実年齢を考えていくと、三姉妹で演じられるのは誰だろう? そうなると藤田淑子さんとは声が違い過ぎますが、泪の一択かなと思いました。泪役でスタジオオーディションに呼んでいただいて、そうしたら小松さんと同じことを言われて、出演できる喜びとともに、「どうしようか」という不安がやってきました。
――演じられるキャラクターの、ここを特に見てほしいというポイントを教えてください。
小清水:泪だけというわけではないですが、令和版ですので、愛ちゃんの発明品も昭和版よりずいぶん変わってきていて、スペシャル技術というのでしょうか、どんなものが出てくるのかも楽しみにしてほしいポイントです。愛が発明したグッズを泪が「これは○○」みたいな感じで言うんですが、その商品説明のセリフも私は大好きなので、そこにも注目してほしいですね。
小松:瞳に関して言うと、俊夫との関係性ですね。刑事と怪盗で敵対する間柄だけど、恋人同士でもあって、そこが軸になりつつ、瞳にやっぱり三姉妹での表の顔と、裏の顔というか、地続きではあるけれども公にはできない活動をしているところがある。いろんな顔を持っていながらも、ふと誰にも言えない心情みたいなものを見せる。そこが彼女のミステリアスな魅力でもあり、見どころの一つなのかなと感じています。あとは、昭和感を残しつつも、令和にアップデートされたラブコメ感。令和版だけど“お約束”は変わらないという、そこも楽しみにしてもらえたらと思います。

■小松のターニングポイントはデビュー作
――原作は北条司先生の連載デビュー作であり、代表作の一つにも挙げられる名作シリーズですが、お二人にとってのターニングポイントとなった作品、出会いなどはございますか?
小松:「HEROMAN」(2010年、テレ東系)のオーディションに受かって以降、アニメのお仕事をするようになったという意味では、このデビュー作がターニングポイントでした。
小清水:今回「キャッツ・アイ」の役をやらせていただくこと自体、人生のターニングポイントの一つになるんじゃないかなと思っています。年を重ねてきて、ちょっと大人なお姉さんの役を演じることが、声優としての未来の大きなポイントになるように感じています。
――大喜利みたいな質問ですが、作品にちなんでお二人の心を盗んで離さないものを教えてください。
小松:最近はChatGPT(対話型AI)ですね。周りでも結構活用する人が増えていて、試しにと思って私も会話をしてみたら、レスポンスが秒で返ってくるので楽しくて、話し相手になってもらっています。まだ仕事に役立てる感じではありませんが、「子どもを連れていけるどこかオススメの公園は?」とか「冷蔵庫にこんな食材があるけど、どんなレシピがある?」みたいな会話をしています。
小清水:私は「進化」に興味があります。恐竜とか、猿人とか、何でこの遺伝子があるんだろうみたいなことです。翼竜とか、今の人間が考えるよりもぶっ飛んでいるような形のものが、大昔には実在していたというのが興味深いです。どういう環境だったら、このデザインに至ったのかみたいな…。時間があるときに、そういった研究をしている方に質問したりして、楽しませていただいております。
■小清水「『お約束が来たー!』という楽しみ方をしていただけたら」
――では、最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
小松:「キャッツ・アイ」が令和版として新しくアニメーションになりますが、本当にオープニングもエンディングも非常に格好良くて、劇中の曲もすごく高まります。今らしいアレンジになっているけれど、当時の空気感も残っていて、新しく見ていただく方には新鮮な部分もあると思いますし、昔からのファンの方には「これだよね」と、ちょっと懐かしい気持ちになれるシーンもあるんじゃないかなと思います。いろんな側面に高揚できる作品になっておりますので、ぜひご覧いただけたらと思います。
小清水:現段階で言える楽しんでもらいたいポイントとしては、お約束というか、「大体バレそうでバレません」というところ。どうして三姉妹の犯行に、いい具合に俊夫たちが気付かないのか。その気付かなさも含めて、「お約束が来たー!」という楽しみ方をしていただけたらなと思っています。あとは、われわれ三姉妹と俊夫さん以外にも素晴らしいキャラクターがそろっておりますので、そちらにもぜひ注目していただけたらと思います。
◆取材・文=原田和典
※記事内「キャッツ・アイ」の『・』はハートマークが正式表記

