2024年11月に現役生活に終止符を打ったラファエル・ナダル(スペイン)が、引退後の率直な心境を明かした。四大大会通算22勝、「全仏オープン」では前人未到の14度優勝を成し遂げ、“赤土の王者”として一時代を築いたレジェンドは、英メディア『TNT Sports』のインタビューで、競技人生への未練は「もうない」と語っている。
38歳のナダルは、テレビや自身の記念館で自らのプレー映像を見る機会もあるという。しかし、それを見て「まだ続けるべきだった」と感じることはないようだ。むしろ、現役続行に執着せずに済んでいる現在の状態を前向きに受け止めている。
「今日、私はそれ(テニス)を恋しいとは思わないと皆さんに言うことができます。なぜなら、自分の居場所はもうそこ(コート上)にはないことがわかっているからです」
長年にわたりツアーの最前線で戦い続けたナダルにとって、ケガとの闘いは切り離せないものだった。キャリア終盤には足や腹部の不調に加え、筋肉や可動域の問題にも苦しめられた。中でも決定的だったのが、23年の「全豪オープン」で負った股関節の故障である。復帰を目指して手術に踏み切ったものの、その後は長期離脱を余儀なくされ、思うようにコンディションを戻すことはできなかった。
ナダルは当時の決断について、今だからこそ語れる本音も口にしている。
「その後に起きたことを知っている今となっては…そうですね、(手術は)やらなかったでしょう」
一方で、当時は可能性を信じて下した決断だったとも説明した。
「しかし医師たちは、手術をすれば復帰し、適切なコンディションでしっかり戦える可能性があるという自信を私に与えてくれました。そして、私は手術を受けました」
「私は自分自身に続けるチャンスを与えるために、やらなければならないことをしました。なぜか? 自分がやっていることが幸せだったからです。現実として、私にはまだ競争力がありました」
実際、ナダルは2024年にツアー復帰を果たし、最後のシーズンに挑んだ。「全仏オープン」には、自身15度目の優勝を目指して出場したものの、1回戦でアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現世界ランキング3位)に敗退。その後のパリ五輪では、大会覇者となったノバク・ジョコビッチ(セルビア/同4位)と2回戦で対戦した。両者にとって通算60度目の顔合わせとなった一戦は、ジョコビッチがストレート勝ち(通算対戦成績はナダルの29勝31敗に)を収めている。
そして同年11月の「デビスカップ・ファイナルズ」が、ナダルにとって最後の舞台となった。オランダ戦でボティック・ファンデザンツフープ(同53位)に敗れ、20年以上に及ぶ偉大なキャリアに幕を下ろした。
フェデラーは41歳までプレーを続け、ジョコビッチは今なお第一線に立ち続けている。それでもナダルは、自らのキャリアに区切りをつけた決断を後悔していない。コートへの未練がないと言い切れること自体が、彼にとっては最後まで戦い抜いた証なのだろう。
構成●スマッシュ編集部
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