画面を見せた
少し考えて、私はスマホを息子に向けて差し出しました。
「……これ、見てみる?」と。
打ちかけだった「明日朝までに確認お願いします」というメッセージ。スクロールすると、塾の先生からの「お母様、最近の様子で気になることはありますか」という相談、家計簿のアプリ、息子の志望校の説明会の案内も並んでいます。でも、私はそこで止まらずに、こう続けました。
「でもね、確かに、ニュースとかSNSも見てた。完全に言い切れないのは事実」
一瞬うつむいた息子は、ぽつりと「……俺も、母さんが何してるか、見てなかった」と返してきたのです。
そして...
あの夜から、私はリビングで仕事をするときは、できるだけパソコンに切り替えるようになりました。息子も、家にいるときはスマホをダイニングの隅に置くようになっています。
スマホの画面に何が映っているかは、外から見てもわかりません。だから、お互いに見えないものを見ようとしないまま、ただ「相手はサボっている」と決めつけていたのだと思います。
あの夜、見せて、見せられた画面が、私たちの会話の入り口になりました。完璧な親子ではないけれど、これからも少しずつ、お互いを見ていけたらと願っています。
(40代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
