6月11日開幕のサッカーW杯北中米大会まで、1カ月を切った。心配のタネはメキシコ会場だ。今年2月に巨大麻薬組織「ハリスコ新世代カルテル」の指導者で麻薬王の「エルメンチョ」ことネメシオ・オセゲラ・セルバンテス容疑者がメキシコ軍の急襲作戦で殺害されて以降、軍への報復と残された縄張り争いが激化しているからだ。
巨大麻薬組織と敵対する組織はそれぞれ、自前の「ドローン軍」を持っており、幹部が暮らす農村ごとドローンで焼き払う、あるいは無差別に襲撃する、という抗争が続いている。
麻薬王エルメンチョの後継者と目された人物も逮捕されたが、4月20日には首都メキシコシティ近くのテオティワカン遺跡「月のピラミッド」で、観光客を狙った銃乱射テロが起きた。
カナダ人女性が死亡するなど14人の死傷者を出したことで、W杯期間中に「月のピラミッド」で予定されていたプロジェクションマッピングは警備体制の見直しを余儀なくされ、白紙の状態だ。
これら麻薬抗争とテロに対し、メキシコ政府は軍隊と警察、民間警備員を合わせて約10万人を投入。大会期間中は警備用ドローンとロボットが会場周辺とホテル街を24時間監視するとして、監視エリアを出ない限り、安全だと強調している。
メキシコの3会場はすでに改修工事が済み、国際サッカー連盟(FIFA)の基準をクリアしている。だがメキシコのプロリーグ、リーガ・エムエックス試合会場にもなっているW杯会場のYouTube紹介動画をいくつか見ると、とんでもないことに気が付く。
拭いた後は便器横の大きなゴミ箱に捨てる
メキシコシティのメイン会場「アステカスタジアム」はトイレの配管が未完成で、男性トイレの床から階下を歩く観客が見下ろせるのだ。しかも、男性トイレにも女性トイレにも「トイレットペーパー」がない…。
メキシコの公共施設では一般的に、トイレの入り口にトイレットペーパーが置いてあり、必要な分だけ取ってから個室に入るスタイルだ。日本や北米と比べて下水道インフラが整備されていないため、拭いた後は便器横の大きなゴミ箱に捨てる。メイン会場のアステカスタジアムには、共用のトイレットペーパーも置いていない。
日本×チュニジア戦が行われるメキシコ第二の都市モンテレイ「エスタディオBBVA(BBVAスタジアム)」は、2015年に建設された新しいスタジアム。街を取り囲む東シエラ・マドレ山脈の借景を生かした開放的なデザインで、内部は旧国立競技場に似ている。
こちらは個室にトイレットペーパーホルダーがあるが、ハーフタイムに利用者が殺到するとトイレットペーパーの補充が間に合わなくなる。
チュニジア戦の現地応援を考えている人は、日本からトイレットペーパーを多めに持っていったほうがよさそうだ。
(那須優子)

