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【W杯回顧録】第21回大会(2018年)|日本には「サッカーに唾を吐いた」と批判も…。新星エムバペ躍動やまさかのドイツ敗退。ロシア開催を彩った衝撃のドラマ

【W杯回顧録】第21回大会(2018年)|日本には「サッカーに唾を吐いた」と批判も…。新星エムバペ躍動やまさかのドイツ敗退。ロシア開催を彩った衝撃のドラマ


 北中米ワールドカップが6月11日に開幕を迎える。4年に一度、これまでも世界中のサッカーファンを魅了してきた祭典は、常に時代を映す鏡だった。本稿では順位や記録の先にある物語に光を当て、その大会を彩ったスター、名勝負、そして時代背景などをひも解いていく。今回は2018年の第21回大会だ。

――◆――◆――

●第21回大会(2018年)/ロシア開催
優勝:フランス
準優勝:クロアチア
【得点王】ハリー・ケイン(イングランド):6得点

 2018年ワールドカップのロシア開催は、2010年12月2日、FIFA理事会で、さらに4年後のカタール開催と同時に決定した。

 2018年大会はイングランドが、日本も立候補をした2022年大会は米国が有力視されていたなかでのどんでん返しで、わずか22名のFIFA理事による投票という選考方式が買収等の疑惑を呼び、やがて2015年のアメリカ司法省とFBI及びスイス当局の捜査を契機に、長年に渡る組織の大規模な収賄体質が明らかになる。

 最終的にはFIFA会長のゼップ・ブラッターやUEFA会長のミッシェル・プラティニが追放されるなどの大激震となった。

 FIFAほどではないが、日本サッカー界も大きく揺れ動いた。前回大会を終えてJFAは、メキシコ人のハビエル・アギーレを新代表監督に招聘した。だがサラゴサの監督時代の八百長疑惑が浮上し、2015年2月、アジアカップでの準々決勝敗退後にJFAは契約を解除。後任には前回大会でアルジェリアを指揮して、優勝したドイツを最も苦しめたヴァイッド・ハリルホジッチを据えた。
 
 ハリルホジッチが率いる日本代表は無事大陸予選を突破した。だが最大のライバルだったオーストラリアとのホームゲームは2-0で勝利するも、ポゼッションは38.4パーセント。後に横浜FMをJリーグ制覇に導くアンジェ・ポステコグルーが率いるオーストラリアとは、戦い方が対極を成した。

 最終予選を突破した後に、ハリルホジッチはこう反論した。

「日本サッカー界では、ポゼッションが高いほうが有利という強迫観念に近いものを持っているが、その罠にハマってはいけない。最も重要なのはデュエルなんだ」

 しかし、その後は成績不振が続き説得力と求心力を失い、JFAはハリルホジッチを解任して西野朗体制でロシア大会に臨む決断を下す。本来監督を補佐する立場の技術委員長を土壇場で代役に据える人事は、文字通り窮余の一策だった。

 初戦の相手は前回1-4で大敗しているコロンビアで、勝算を導き出すのは難しかった。ところが香川真司をトップ下、両サイドに原口元気と乾貴士を配す4-2-3-1でスタートした日本は、開始早々から幸運を呼び込む。

 香川の縦パスから大迫勇也がシュートに持ち込み、セカンドボールに反応した香川が再び狙うと、カルロス・サンチェスの腕に当たりPK&レッド。香川は冷静にPKを決め、日本は開始6分で先制点と数的優位を確保した。

 10人のコロンビアも39分、ファン・フェルナンド・キンテーロが、ジャンプした日本の壁の足下を抜くFKで追いつくが、日本は73分、交代出場した本田圭佑のCKを大迫が頭で合わせて突き放し、勝点3を手にして望外の好スタートを切った。
 
 しかし続くセネガルと2-2で分けた後のポーランド戦は、世界中からの批判に晒される。ポーランドはすでに2敗してグループステージ(GS)での敗戦が決まっていた。だが日本戦では底力を見せて59分に先制する。一方同時刻開始の同組別カードでは、74分にコロンビアが先制。そのまま終わればコロンビアが勝点6で1位、日本とセネガルは勝点4で並ぶが、この大会からVARとともに導入されたフェアプレーポイントにより日本は2位通過が可能な状況だった。

 ただしポーランドが追加点を奪うか、セネガルが同点ゴールを挙げれば、日本が敗退になる。それでも西野監督は、82分に長谷部誠主将をピッチに送り、攻めずに後方でのボール回しを指示。ブーイングが轟音と化すなかで、傷口を広げない敗戦を貫いた。コロンビアを追いかけるセネガルは終盤に決定機を連ねたが、スコアは動かなかった。

 ロシアの地元紙は「サッカーに唾を吐いた」と非難し、スペインの「MARCA」紙も「汚いフェアプレー」と皮肉り、全員に0~1点という最低の評価を並べた。

 だがポーランド戦ですっかり腰の引けた姿勢で世界を呆れさせた日本が、ラウンド(R)16では見違える勇敢さを示し汚名を返上した。序盤から優勝候補のベルギーに一歩も引かぬ攻防を展開。48分には柴崎岳のスルーパスを受けた原口が鮮やかなゴールで均衡を破ると、さらに4分後には乾が無回転シュートをサイドネットに突き刺し、リードを広げる。
 
 しかし追い込まれたベルギーは、長身選手2人を送り込みパワープレーを展開。ヘディング2発で追いつき、試合はアディショナルタイムに突入した。日本は左CKを本田が中央に送り込むが、これは2メートルの長身を誇る守護神ティボー・クルトワの大好物だった。ハイボールをキャッチしたクルトワは、すかさず丁寧なボールをケビン・デ・ブライネに届ける。

 ここからベルギーが一気にカウンターに転じ、右からトーマス・ムニエが折り返したボールを、中央でマークを引き連れていたロメル・ルカクがスルー。さらに逆サイドからフリーで走り込んでいたナセル・シャドリが決めて、2点差を引っ繰り返す逆転勝利を飾った。それでも西野監督は、わずか46日間の活動を通して絶望的な状況から日本の長所を引き出し、先に2点をリードして反撃を受けたベルギー戦以外は、ポゼッションで相手を上回った。

 黄金期を迎えたベルギーは、前回大会、それに2年前のEUROと立て続けにベスト8に終わっていたが、日本戦での苦境を克服し、弾みをつけ準々決勝ではブラジルを下した。決勝ゴールになったのは、やはり相手CKからのカウンター。マルアン・フェライーニがクリアしたボールをルカクがキープして反転。敵陣までドリブルで運びラストパスを送ると、デ・ブライネが左隅へ蹴り込んだ。

 日本戦の決勝点より少ない3人でカウンターを完結させると、最優秀GKに選ばれたクルトワが卓抜したセーブを繰り返した。準決勝ではフランスに惜敗したが、3位決定戦もベストメンバーで臨んでイングランドを下し、黄金世代の集大成として86年メキシコ大会の4位を超えた。
 
 GSで最大の波乱は、ドイツの敗退だった。FIFAランク1位で大会を迎えたドイツは、必ずしも難しいグループに入ったわけではなかった。ところが初戦では、圧倒的にボールを支配しながらメキシコのカウンター一発に沈む。続くスウェーデン戦では、1-1で迎えた終盤にジェローム・ボアテングが退場。しかし90+5分、FKからトニ・クロースがゴールネットを揺すって勝ち切り、伝統の勝負強さを誇示した。

 最後はすでに2敗している韓国との対戦だった。だが序盤から猛攻を続けながら決め切れず、別会場では同グループで2戦を終えて勝点3のスウェーデンが、勝点6のメキシコからリードを広げる展開になる。焦燥を募らせるドイツが前がかりに出たアディショナルタイムに、韓国のカウンターが立て続けに2本決まった。結局ドイツはグループFの最下位に終わり、すべてノックアウト方式だった1938年大会の1回戦敗退以来の屈辱を味わうことになった。

 逆に予想以上の大健闘で大会を盛り上げたのが、開催国のロシアだった。まだCSKAとスパルタクとモスクワ2強や、ゼニト、ルビン・カザンなど自国のクラブが欧州で活躍出来ていた時期だったので、23人登録の中で外国のクラブに所属していたのはMFのデニス・チェリシェフとサブGKのみ。

 ロシアはFIFAランク70位で、グループAの対戦相手はすべてランキング上位だったが、5バックの堅固な守備からのカウンターを武器に、サウジアラビア、エジプトには、それぞれ5-0、3-1で快勝。2位通過を果たすと、R16では前々回王者のスペインに75パーセントもボールを支配されながらPK戦の末に下し、クロアチアとの準々決勝でも延長戦でリードを奪われながらも追いつく熱戦を繰り広げた。
 
 最後はPK戦で力尽き、旧ソ連時代のベスト4(66年大会)には及ばなかったが、要所にフィジカルに長けたタレントを擁し、ミドルシュートや空中戦を利しての躍進は、昔日の強豪国の面影を彷彿とさせた。だがロシアは2022年2月、ウクライナ侵攻によりFIFAから追放される運命を辿るのだった。

 ロシアを退けたクロアチアは、ノックアウトステージに入ると3試合連続で先制されながら120分間を戦い抜き、独立後初出場だった1998年大会の3位を超えて決勝進出を果たした。決勝戦のスタメン平均年齢が29.2歳ですでに高齢化の傾向が見えていたが、32歳のルカ・モドリッチを軸にゲームをコントロールし、最前線にはマリオ・マンジュキッチを擁し、サイドにもイヴァン・ペリシッチら適材適所のタレントが経験値を活かして勝負強さを発揮した。

 R16ではデンマーク、準々決勝ではロシアをPK戦で下すと、準決勝ではFKで先制されながらも左右への揺さぶりからペリシッチのゴールで追いつき、延長戦突入後の109分にマンジュキッチが左足で決着をつけた。拮抗した試合続きでも全7試合をポゼッションで相手を上回り、主導権を握りながら流れを呼び込むスタイルは賞賛を集め、その象徴がモドリッチのMVPとバロンドール受賞だった。
 
 逆に次代を担うキリアン・エムバペという稀有なタレントを組み込んだフランスは、他国との違いを生む決定力を武器に効率的な勝利を重ねた。大きく弾みをつけたのは、R16のリオネル・メッシを擁するアルゼンチン戦だった。

 フランスは、10分過ぎにエムバペが自陣から3人を引き連れ爆発的なスプリントを利かせたドリブルでペナルティエリアに迫る。必死に追いすがる3人を振り切り、最後は待ち構えたマルコス・ロホを抜きにかかったところでファウルを受けてPKを獲得。アントワーヌ・グリーズマンが決めて先制する。

 その後アルゼンチンが、アンヘル・ディ・マリアのミドルシュートと、メッシのミスショットに反応したガブリエル・メルカドの得点で逆転するが、フランスも左SBのリュカ・エルナンデスのクロスを右SBのバンジャマン・パバールが逆サイドのネットに叩き込んで追いつく。さらにフランスは、19歳のエムバペが左右の角度からそれぞれの足で2ゴール。勢いに満ちた新星と、ほとんど効果的な仕事が出来なかった巨星メッシとの明暗が分かれた。
 
 フランスは、アルゼンチンを4-3で退けると、次の2戦は手堅く勝利を手繰り寄せた。準々決勝はセットプレーと相手GKのミスで生まれた2点を守り切りウルグアイを下した。また準決勝のベルギー戦では、GKクルトワの神がかったセーブに悩ませられたが、グリーズマンのCKをDFのサミュエル・ユンティティが頭で叩いてゴールをこじ開け、それが決勝点となった。

 決勝戦でもフランスの効率的な攻撃が、クロアチアを凌駕することになった。18分、グリーズマンのFKがマンジュキッチのオウンゴールを誘い均衡を破ると、1度はエリア内で分厚い攻撃を展開したクロアチアに同点ゴールを許すが、再びCKからの相手のハンドで得たPKをグリーズマンが決めて突き放す。

 さらに後半には59分にポール・ポグバ、その6分後にはエムバペがミドルレンジから正確にグラウンダーを左隅に蹴り込み4-1とリードを広げた。クロアチアとは対照的に、フランスがポゼッションで相手を上回ったのは、GSのオーストラリア戦だけだった。そして効率的な試合を導いたディディエ・デシャンは、ドイツのフランツ・ベッケンバウアーに続き、主将と監督両方の立場でワールドカップを手にすることになった。

 1998年自国開催以来のフランスの快挙に、パリのシャンゼリゼ通りには数十万人が集結した。しかし人口わずか450万人のクロアチアの首都ザグレブでは、50万人以上が帰国した選手たちの乗るバスを囲み快哉を叫んだ。

文●加部究(スポーツライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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