現地5月16日に行なわれたスコティッシュ・プレミアシップ最終節は、歴史的な優勝争いの結末として記憶される一方で、後味の悪い混乱も残した。
首位ハーツを勝点1差で追うセルティックは、本拠地セルティック・パークでの直接対決を3-1で制し、逆転でリーグ5連覇を達成した。だが、後半アディショナルタイムにカラム・オスマンドが独走から勝負を決定づける3点目を決めた直後、ホームサポーターが一斉にピッチへなだれ込み、試合は混乱の中で終了。ハーツの選手たちは危険を察知したクラブスタッフに促されてトンネルへ退避し、試合後のメディア対応も行なわず、ユニホーム姿のままチームバスでスタジアムを後にした。
ハーツはこの事態を「恥ずべき光景」と強く非難し、選手やスタッフに対する「深刻な身体的、言葉による虐待」だと発表。この報告について、スコットランド警察と協議しながら調査を進めているという。
クラブは声明で、「本日午後のセルティック・パークでの恥ずべき光景を、ハート・オブ・ミドロシアン(ハーツ)は断固として非難する。これは再びスコットランド・サッカーに恥をかかせるものだった」と表明した。さらに、「ピッチ上およびその他の場所で、我々の選手やスタッフに対する深刻な身体的、言葉による虐待があったとの報告は、極めて憂慮すべきものだ」とし、「選手とスタッフがそのような状況に置かれたことは完全に容認できない」と訴えた。
リーグ側も事態を重く受け止めている。、スコットランドの日刊紙『THE SCOTTISH Sun』によれば、SPFL(スコットランド・プロサッカーリーグ)は試合後に発表した声明の中で、まずセルティックの優勝を祝福。ハーツの健闘にも敬意を示したうえで、「フィールドに進入したセルティック・サポーターによる光景を断固として非難する」とコメントした。SPFLは、「いかなる状況であれ、サポーターがピッチに入ることは完全に容認できず、試合に参加している人々、そして運営に携わる人々を危険にさらす」と強調している。 一方で、SPFLは試合の扱いについても説明。オスマンドの3点目が決まった時点で、提示された8分のアディショナルタイムはまだ約30秒残っていたが、試合は再開されなかった。そのため一部では、「試合は放棄されたのではないか」との見方も出たが、SPFLは「表彰式を行なう前に、主審が試合を終了しており、放棄されたものではないと伝えられた」と明言。混乱の中でも、公式記録上はセルティックの勝利として成立したとの立場を示した。
そして、セルティック側も謝罪に追い込まれている。クラブは日曜日夜に「勝利の後、複数の人物がピッチへ進入した行為を遺憾に思う」と声明を発表。「このような行為に正当化の余地はなく、大多数のセルティック・サポーターにとっても、喜びを損なうだけのものだ」と断じ、「いかなる調査にも、またSPFLの手続きにも全面的に協力する」と約束した。
『THE SCOTSMAN』紙は、今回の件に対する現地警察の動きも報じており、スコットランド警察マーク・サザーランド警視監補の「ハーツ側と話をしており、選手が暴行を受けたかどうか確認を進めている。もし選手、あるいは一般の人々がピッチ上で暴行を受け、犯罪行為があったなら、我々は厳正かつ迅速に対応する」とのコメントを紹介している。
今回の騒動については、現地メディアが強い関心を示しているが、英国の日刊紙『The Guardian』は、「単なる優勝祝いの行き過ぎでは済まされない」と厳しく非難。「セルティックが優勢な現状ですら、一部サポーターがこれほど無秩序な行動を取るのであれば、チームが深刻な不振に陥った時には、果たして何が起こるのか?」と疑問や懸念を示すとともに、主審が本来より早く試合終了を宣告せざるを得なかった点を問題視。「どんな危険な前例を作るつもりか?」と警鐘を鳴らした。
同メディアはまた、セルティックでは近年ピッチ進入が「恒例行事」のようになりつつあるとも批判。スコットランド代表のファンがワールドカップ出場を劇的に決定した時ですらピッチには乱入しなかった例や、ハーツのサポーターが宿敵ハイバーニアン戦の劇的勝利後もスタンドにとどまった点を引き合いに出し、セルティック・サポーターの愚行を「これは必要なものではない」と断じた。
5連覇を決めたセルティックにとって、本来ならば歓喜だけが残るはずの最終節だったが、ハーツの夢を打ち砕いた劇的勝利は、ファンのピッチ進入と選手への危険行為という形で汚された。クラブ、統括機関、警察が今後、どこまで実効性のある対応を示せるのかが注目される。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】大量のセルティック・ファンがピッチへなだれ込む【画像】日本代表W杯メンバー決定! 久保建英、堂安律、中村敬斗、鎌田大地、上田綺世、伊東純也、佐野海舟、伊藤洋輝、鈴木彩艶ら26人の顔ぶれ

