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ラストプレーで劇的同点弾→PK戦勝利。敗戦濃厚を跳ね返してU-17アジア杯制覇に王手をかけた“舞台裏”「アントニー、上がれ!」【現地発】

ラストプレーで劇的同点弾→PK戦勝利。敗戦濃厚を跳ね返してU-17アジア杯制覇に王手をかけた“舞台裏”「アントニー、上がれ!」【現地発】


[U-17アジア杯]日本 1(3PK2)1 ウズベキスタン/5月19日/Hall Stadium Legends

 9割9分、敗戦濃厚。時計の針は表示されていたアディショナルタイムの5分を回っていた。AT中にウズベキスタンの選手同士が接触した影響でプレーが止まっていたとはいえ、残された時間はほとんどない。ラストプレーを覚悟したなかで、0−1の状況をひっくり返す起死回生の同点ゴールが生まれた。

 現地5月19日に行なわれたU-17アジアカップの準決勝。グループステージを首位で突破し、今秋のU-17ワールドカップ出場(グループステージの各組上位2か国の計8か国とホスト国のカタール)を決めているU-17日本代表は、ウズベキスタンと対戦した。結果は1−1で迎えたPK戦を制し、逆転勝利で2大会ぶりの決勝進出。そして、5度目の優勝にも王手をかけた。

 試合を振り返れば、旗色はかなり悪かった。誤解を恐れずに言えば、負けゲームだったのは否めない。個人技で圧倒され、パワーとスピードも相手が上。「上手くいかなかった印象」と小野信義監督が振り返ったように、後半の途中までを見れば、勝利を持ってくるのはかなり難しいように思えた。
 
 コイントスでウズベキスタンに風上を取られた前半。日本は序盤から劣勢で、前半はシュートをわずかに1本しか打てなかった。相手に押し込まれる時間帯が続き、28分にエリア内で左CBエゼモクェ・チメヅェ海(C大阪U-18/2年)が相手FWを倒してしまう。このPKを決められ、リードを許した。

 前半は劣勢が続き、迎えた後半。追い風を受けたが、思うように攻撃が仕掛けられず、頼みのエース・MF北原槙(FC東京/2年)にも良い形でボールが入らない。そうした状況下でMF白男川羚斗(名古屋U-18/3年)を投入。左足のスペシャリストを左WBに置き、クロス攻勢でゴールをこじ開けにかかった。徐々にリズムを掴んだものの、それでも肝心のゴールが生まれない。時計の針は刻々と進み、88分。ここから日本が勝利を手繰り寄せる策を打つ。

「アントニー、上がれ!」

 ベンチからの指示で最前線に主将・右CB元砂晏翔仁ウデンバ(鹿島/3年)が上がり、途中出場で本職ではない右WBに入っていた星宗介(尚志高/3年)が3バックの右にスライド。元砂がFW齋藤翔(横浜FCユース/3年)と2トップを組み、3−4−2−1から変則的な3−5−2にシステムを変えた。直前合宿の地・エジプトでわずかに試しただけのスクランブルフォーメーションでゴールを狙い、190センチを誇る元砂の高さに全てをかけた。
 
 しかし、時計の針は進み、残された時間は5分と表示されたアディショナルタイムだけ。効果的な攻撃は繰り出せずにいた。すると、相手の接触プレーがあった90+3分に治療で中断したタイミングを見て、ベンチは最後の一手を繰り出す。左CBのエゼモクェも前線に上げたのだ。

 実は一度も試していない配置で、小野監督の頭にもなかった策。試合後、指揮官はこの場面を振り返ってこう話した。

「スタッフから、『エゼもいっちゃいましょう』という話が出た。自分にはあんまりアイデアになかったんですけど、それはスタッフが助けてくれて。そしたら、あんなことになるとは」

 そこから4分後。90+7分、ついにスコアが動く。セカンドボールを拾ったCB熊田佳斗(大宮U-18/2年)がハーフウェーライン手前から前線にボールを入れる。「真ん中から上げるのは…」と指揮官が思った矢先、最前線でうまく相手を外した元砂がペナルティエリア内で右足を伸ばす。うまく前方に落とすと、最後はエゼモクェが相手DFのオウンゴールを誘う形でネットを揺らした。
 
 土壇場で追いついた日本はPK戦も勢いに乗り、守護神のGK大下幸誠(鹿島ユース/2年)が1本目と2本目を連続ストップ。3本目は相手がバーに当て、決めれば勝ちという状況を作った。そこから2連続失敗はあったが、最後は元砂が冷静に決めて凱歌をあげた。

 決して、褒められる内容ではない。だが、シビアなゲームを経験し、勝ち切った成功体験は大きな意味がある。なりふり構わず、ゴールを目ざす展開はワールドカップで起こり得るし、その先のU-20ワールドカップや五輪、そしてA代表のワールドカップでも想定がされるシチュエーションだ。

「ここで負けたくない、決勝まで行きたいって、ずっとそういう気持ちがあった」とは元砂の言葉。真剣勝負の場で、ギリギリの勝負ができた経験はきっと財産になる。

 次なる相手は中国に決まった。グループステージの第2戦では2−1で勝利したが、相手は勢いに乗っており一筋縄ではいかないだろう。この試合で得た収穫も課題も全て持ち帰り、ファイナルに向けて最高の準備を進めていく。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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