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「週4勤務」を試した豪15社、予想以上の結果に

「週4勤務」を試した豪15社、予想以上の結果に

週4勤務に移行した企業の結果は? / Credit:Canva

もし、「週の労働が4日だけでいい」なら、気持ちがぐっと軽くなるかもしれません。

月曜から金曜まで働くのが当たり前になっている私たちにとって、週に1日多く休める生活は、まるで遠い理想のようにも感じられます。

しかし、その理想にかなり近い働き方を実際に試した企業があります。

オーストラリアのディーキン大学(Deakin University)の研究者らは、週4日勤務を試したオーストラリア企業15社中14社がこの働き方を継続しており、各社の自己評価では、生産性の低下を報告した企業はありませんでした。

研究の詳細は、2026年5月13日付で学術誌『Humanities and Social Sciences Communications』に掲載されています。

目次

  • 週4日勤務へ移行した14社で成果が落ちなかった
  • 成功の鍵は「仕事の無駄」を削ること

週4日勤務へ移行した14社で成果が落ちなかった

週4日勤務と聞くと、「1日の労働時間が長くなるだけでは?」と思う人もいるかもしれません。

実際、1970年代のエネルギー危機の頃に広まった週4日勤務は、週40時間の仕事を4日間に圧縮する形でした。

つまり、1日10時間働いて、休みを1日増やすという方式です。

しかし今回の研究が扱ったのは、それとは異なる「100:80:100モデル」です。

これは、従業員が給与の100%を受け取りながら、以前の80%の時間だけ働き、その代わりに従来と同じ100%の成果を維持するという仕組みです。

簡単に言えば、「給料はそのまま、働く時間は短く、成果は落とさない」という働き方です。

研究チームは、このモデルを正式に試行したオーストラリアの15社に注目しました。

対象企業は、物流、不動産管理、医療、出版、会計、マーケティング、研修・コンサルティングなど幅広い業種にまたがっていました。

企業規模は小規模から中規模で、従業員数は2人から85人までです。

そして研究では、各企業で週4日勤務の導入に関わった意思決定者たちにインタビューを行いました。

興味深いのは、多くの企業が週4日勤務を「生産性アップの魔法」として始めたわけではなかったことです。

最も多かった導入理由は、燃え尽き症候群の予防でした。

15社中6社がこれを主な理由に挙げ、5社が従業員のワークライフバランス改善を挙げています。

長時間労働や人材流出、病欠、メンタルヘルスの問題を前に、企業側も「このままでは人が持たない」と感じていたのです。

では、実際に成果はどうだったのでしょうか。

調査時点で、15社のうち14社は100:80:100モデルを継続していました。

1社だけは中止しましたが、この企業は導入時に事業の方向転換など大きな変化を抱えており、制度そのものよりもタイミングの悪さが大きかったと説明されています。

生産性については、6社が「向上した」と回答し、8社が「ほぼ同じ」と答えました。

中止した1社は、十分に測定できる段階ではなかったため回答できませんでした。

つまり、今回の聞き取りでは、少なくとも生産性を評価できた企業の中で、週4日勤務による生産性低下を報告した企業はありませんでした。

では、なぜ労働時間を2割減らしても、成果が落ちなかったのでしょうか。

成功の鍵は「仕事の無駄」を削ること

単純に考えると、5日分の成果を4日で出すには、1時間あたりの生産性を25%上げる必要があるように見えます。

しかし論文では、実際にはそれほど単純な「仕事の詰め込み」が必要だったわけではないと説明されています。

重要だったのは、週4日勤務の導入と同時に、企業が仕事の進め方そのものを見直したことです。

例えば、「会議を短くして目的を明確にする」「成果につながりにくい作業を減らす」「仕事の優先順位を見直す」「連絡や予定の組み方を整理する」などです。

こうした「何となく続いていた仕事」を減らすことで、労働時間の短縮が単なる負担増にならずに済んだと考えられます。

つまり、週4日勤務は、従業員に「もっと急いで働け」と迫る制度ではなく、企業に対して、その仕事は本当に必要なのかを問い直させる制度として機能したのです。

研究では、成功した企業に共通する特徴も見えてきました。

それは、経営側が明確な目的を持って制度を始め、従業員側もその成功に関わっていたことです。

論文ではこの形を「経営主導、従業員駆動」と表現しています。

経営者が「週4日にする」と宣言するだけでは不十分です。

現場の従業員が、どの業務を減らせるのか、どの指標を守るべきなのか、休む曜日をどう分けるのかを一緒に考える必要があります。

実際、全員が同じ曜日に休む企業もあれば、顧客対応を維持するために従業員ごとに休む曜日をずらす企業もありました。

この柔軟な設計が、制度の継続を支えたと考えられます。

また、論文では100:80:100モデルについて、在宅勤務やハイブリッド勤務とは異なる形で、仕事と私生活の境界をはっきりさせやすい可能性があると説明しています。

在宅勤務では、仕事場と生活空間が重なり、家にいても仕事の通知に追われることがあります。

一方、週4日勤務では、あらかじめ「この日は働かない」と決まるため、仕事と休みの境界が比較的はっきりします。

その結果、心身を仕事から切り離しやすくなり、燃え尽きの予防やワークライフバランスの改善につながる可能性があります。

ただし、この研究には限界もあります。

対象は15社と少なく、すべて小規模から中規模の企業です。

また、インタビューを受けたのは制度導入を主導した意思決定者であり、制度を前向きに評価しやすいバイアスが含まれる可能性があります。

大企業や病院、介護、小売、飲食、製造ラインのように、常に人の配置が必要な職場でも同じように導入できるかは、まだ分かりません。

それでも、この研究は週4日勤務を考える企業にとって重要なヒントを与えています。

大切なのは、単に休みを1日増やすことではありません。

限られた時間の中で本当に大切な仕事を見極めることが、これからの働き方を変える第一歩になるのかもしれません。

参考文献

15 Australian companies switched to a four‑day work week. It went surprisingly well
https://theconversation.com/15-australian-companies-switched-to-a-four-day-work-week-it-went-surprisingly-well-283361

元論文

The four-day workweek in Australia: insights from early adopters of the 100:80:100 model
https://doi.org/10.1057/s41599-026-07536-x

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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