月曜の夜に届いた一通
仕事から帰って、缶ビールを開けながらスマホを眺めていた夜のことです。彼女からの通知が表示されました。タップして開いた画面の文字を、俺は二度読みしました。「最近やりとり多いし、メッセージ減らそう、依存しすぎかも(笑)」。
最後の(笑)が、かえって気になりました。冗談で言っているのか、本気なのか。読み返すほどに、後者に思えてきます。彼女のメッセージは、俺にとっては毎日のささやかな楽しみでした。仕事で疲れて帰っても、画面の中で笑える話題があるだけで、肩の荷が少し降りる気がしていたのです。 それを「依存しすぎ」と言われた。減らそう、と提案された。要するに、重かったってことか。そう変換して読むと、もう違う意味には見えなくなりました。
絞り出した『おう』
何かちゃんと返したい。そう思って、入力欄を何度も書いては消しました。「俺もうれしかったよ」と打って消し、「それは寂しい」と打って消し、「ごめん、しんどかったよな」と打って消す。 どれも違う気がしました。「うれしい」と返せば追いすがる感じになるし、「寂しい」と書けば責めている空気になる。
彼女が「依存しすぎ」と区切りをつけようとしているところに、俺が大量の言葉をぶつけたら、いよいよ重い男になる。 画面を見つめたまま、結局打てた言葉は『おう』だけでした。送信ボタンを押した瞬間に、いや違う、もっと別の言葉だっただろう、と後悔しました。けれど取り消すこともできず、画面を裏返してテーブルに置いたのです。
