これが進化すれば、グラス型デバイスだけですべてが解決する
なぜ、ここ、つまり目の前の少し上に文字を表示しようと思ったのか? Meta Ray-Ban Displayのように横に表示する方法もあったと思うが。
「正面と少し下は、物を見るのに使います。例えば歩くために道を見る時、物を手に取って見る時、視界の少し下の部分を使う。だから少し上の部分に表示すると見やすいのです。Meta Ray-Ban Displayは視界の右端に表示されます。これは通知ウインドウのようなものです。片目表示なので、立体的にも見えません。つまり視界に混じって見えてしまうのです。対してEven G1は2m先(調整可能)の空間に文字が浮かんで見えます。背景と混じることなく、文字がすっきり浮かんで見えて区別しやすくなっています」

プロンプトや翻訳を表示して使うのはとても便利だが、歩きながらナビゲーションを見るのは難しい。人間の視界は脳が高度な手ブレ補正をかけているが、このEven G1に浮かぶ文字は揺れてしまう。だから歩きながらナビゲーションを使うと、思っているよりはるかに見にくい。
「そのあたりは今後のテーマだと思っています。楽しみにしていただきたい。私たちは、スマートグラスのカテゴリーに集中しています。このカテゴリーには非常に大きな可能性があると思っています。今のEven G1のファンクションだけでなく、これが進歩すればグラス型デバイスだけですべてが解決するほどの可能性を秘めています。だから、私たちは日常的に快適に使ってもらえるスマートグラスの可能性に賭けています」
アップルは2029年にスマートグラスを出してくる。Even Realitiesはそれまでに成長する
私もスマートグラスに大きな可能性があると思っている。しかし、このカテゴリーには強大なライバルがいる。このことをどう思っているか?
「最大のコンペティターはMetaとアップルです。まず最初のライバルはMetaで、次がアップルだと思います。Metaとアップルに勝ち抜くためには製品の定義が明確である必要があります。Metaとアップルは非常に大きな会社なので、我々は自分たちの製品をいかに定義して、我々の方が優れているかということを証明する必要があります。だから、私たちはMeta Ray-Banとは違う方法を選びました。カメラやスピーカーは持っていませんが、ディスプレイにフォーカスしています。このやり方で正しかったということが分かるまで3年かかると思います。2〜3年の間にチームをものすごい勢いで拡大しようという計画です」

しかし、Metaやアップルはそれ以上に大きいのではないか?
「私はアップルで働いていたし、アップルの背景を知っているので、どのような方向性でアップルが研究開発を進めるか、想像がつきます。アップルは2029年ごろを目指してスマートグラスを開発してくると思います。Vision Proとはまた別の方向性のスマートグラスです。だから、我々は3年以内に急速に成長する必要があります。今、我々は200人のエンジニアを抱えていて、猛烈なスピードで開発しています。アップルがスマートグラスを出してくるまでに、我々はフルカラーのディスプレイとか、もっと大きく表示されるとか、もっと見やすくなるとか、もっとかけ心地が良いとか、そういうさまざまなことを実現する必要があります」
この仕組みでカラー表示することも可能か?
「今すぐには無理ですが、2〜3年のうちにはフルカラー化をする必要があります。Meta Ray-Ban Displayが使っているのはLCOSプロジェクターですが、我々が使っているのはマイクロLEDプロジェクターです。単色表示の現在ではは、マイクロLEDのEven G1の方が高コントラストでメカニズムもコンパクトです。カラー化は今後の課題ですが、実現は可能です」