ゴールデンウィークの出費を抑えた反動か、5月下旬を迎えて「週末だけ、ふらっと一人でどこかへ行きたい」という衝動に駆られるビジネスマンが急増している。そして今年、初夏の旅行トレンドとなっているのが、数カ月前からの綿密な計画をいっさい排し、木曜や金曜の夜に予約サイトの「直前キャンセル枠」や「売れ残りプラン」を格安で拾い上げる「ゲリラ的弾丸ひとり旅」だ。
特に航空会社の空席連動型運賃や、ビジネスホテルの「当日限定15時以降割引」といったアルゴリズムの隙間を突くことで、通常の半額以下で地方の名湯やグルメを満喫できるケースが相次いでいる。
「国内なら1泊2日で十分に元が取れます。例えば首都圏なら金曜の仕事終わりにそのまま羽田空港へ向かい、夜便に飛び乗れば、北海道ススキノや沖縄の国際通りで深夜から絶品グルメを堪能する、なんて荒技も可能です。新生活の疲れがドッと出るこの時期、最短ルートで心身をリセットするためのタイパ重視な選択として、弾丸トラベルが非常にウケていますね」
そう語るのは、ゲリラ旅の裏技に詳しい旅行ライターの高島昌俊氏だ。
そしてこの熱気は国内旅行だけに留まらないと、高島氏は力説する。
「海外であっても、韓国や台湾なら1泊2日で極上のリフレッシュが可能です。さらに金曜夜や深夜発、あるいは月曜の早朝に帰国するフライトを攻めれば、タイやベトナムといった東南アジアまでが、完全な旅行圏内に入ってきます。金曜の午後か月曜の午前中に半休、あるいは1日だけの有休を組み合わせれば、自由度はさらに跳ね上がるでしょう」
目的地をガチガチに決めず価格ファーストで検索
大手予約サイトは直前になると、空室を埋めるために一斉に投げ売りモードへ突入する。そのタイミングをスマートに狙い撃ち、誰にも邪魔されない「聖域」を手に入れる。これこそが、現代社会を生き抜く大人の賢い知恵と言えるのだ。
「直前割を使い倒すコツは、目的地をガチガチに決めず、価格ファーストで検索すること。驚くような掘り出し物と出会うスリル自体が、日常のマンネリを打破する最高のスパイスになりますよ」(高島氏)
五月病の気配を、週末の圧倒的な非日常で焼き尽くす。パスポートとスマホだけを握りしめ、金曜のオフィスからそのまま異国へエスケープするスリル。2026年の初夏、したたかなソロトラベラーたちは、格安の直前枠をチケット代わりに、至高の解放感を掴み取っている。
(滝川与一)

