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【現地取材】ペルージャが欧州CL連覇! 今季チーム4冠の偉業の裏で疑問に残ったコート外の連携不足

【現地取材】ペルージャが欧州CL連覇! 今季チーム4冠の偉業の裏で疑問に残ったコート外の連携不足

現地5月16日と17日の2日間にわたり、バレーボールの欧州クラブ王座を決定する2025-26シーズンCEVチャンピオンズリーグ(CL)のFinal Four(ファイナル フォー/準決勝、3位決定戦、決勝)が行なわれ、男子日本代表の石川祐希が所属する今季のイタリアリーグ王者シル シコマ モニーニ・ペルージャ(大会担当スポンサーをクラブ名に表記)は決勝でポーランドリーグ覇者アルロンCMCワルタ・ザビエルチェと対戦。セットカウント3-0(29-27、25-18、25-15)のストレート勝利で2連覇を成し遂げた。

 ペルージャは準決勝でポーランドリーグのプレーオフ3位PGE プロジェクト・ワルシャワをセットカウント3-0(25-19、25-20、26-24)で退けて頂上決戦の舞台へと駆け上がった。相手は、準決勝でトルコリーグを制したジラート バンク・アンカラをフルセットで破り決勝へ駒を進めた今季のポーランドリーグ覇者ザビエルチェ。昨季のタイトル決戦でフルセットの激闘を演じた両者が大一番で再び顔を合わせることとなった。
 
 ペルージャの先発は、司令塔が主将のシモーネ・ジャンネッリ、OPの元チュニジア代表ワシム・ベンタラ、MBはアルゼンチン代表アグスティン・ロセルとイタリア代表ロベルト・ルッソ、OHにポーランド代表カミル・セメニウクとウクライナ代表オレフ・プロトニツキ、Lはこの試合を最後に現役を退く元イタリア代表マッシモ・コラチ。

 昨季、この舞台で破格のパフォーマンスを見せつけてペルージャのCL初制覇に多大に貢献した石川は、およそ3か月に及んだ故障離脱が響き2大会連続の先発メンバー入りは叶わずリリーフサーバーでの出場に留まった。〈S:セッター、OH:アウトサイドヒッター、OP:オポジット、MB:ミドルブロッカー、L:リベロ〉

 ザビエルチェの先発は、Sがポルトガル代表ミゲル・タヴァレス、OPのポーランド代表バルトウォミェイ・ボウォンジ、OHに米国代表アーロン・ラッセルとポーランド代表バルトシュ・クフォレク、MBはポーランド代表マテウシュ・ビエニエクと元ウクライナ代表ユーリー・グラディール、Lにポーランド代表ヤクブ・ポピフチャクを起用した。
  開催地はトルコ、ポーランドを経て3シーズンぶりのイタリアとあって、本拠地ペルージャはもちろん国内全土からおよそ550人もの応援団 “シルマニアチ”と“クルヴァ・ノルド”のサポーターが連覇を信じて会場に集結。いつも以上に力がこもった応援歌の合唱と銀テープ噴射の洗礼を浴びたコートで決戦の火蓋が切られた。

 第1セットは先にリード2点を奪ったペルージャを逃がすまいとザビエルチェがすぐさま巻き返し、こう着状態が続く。ペルージャは後半にレセプションを崩された後、コンビミスが出て1点を追う展開へ。17-17でリリーフサーバーとして投入された石川が放った打球もネットにかかるなど、ブレークを狙いたい場面で3選手にサーブミスが続いてアクセルを踏み込めない。

 しかし、終盤に相手の誤打でついにブレークを手に入れるとプロトニツキのバックアタックでマッチポイント。ところが、3度目のチャンスでベンタラの打球がブロックに阻まれた直後、レフト攻撃を決めて2点を返した相手にセットポイントを握られて26-27へと形勢が一転する。

 そこでペルージャは、今季幾度も難局を打開してきた威力を発揮。ルッソのブロックとベンタラの豪快なバックアタックでたたみ掛けて再びセットポイントを奪い取るや、ラリーでネット超えた相手のトスをジャンネッリが押し込みセットを先取した。

 出足こそ大激戦の様相を呈したが、以降のセットはペルージャがザビエルチェを圧倒する。第2セットは序盤からサーブを走らせ前半のうちにブレーク9回を奪って大量リード。終盤の入りに誤打が続いて2点を譲るも、最大8点まで広げたリードを味方に危なげなくセットを連取した。 第3セットでは、それまで苦戦気味だったベンタラのサーブが序盤に炸裂。3連続エースなどでブレーク7回を引き出しチームを勢いづける。後半、ミスが散見する相手をよそに、ペルージャはサイドアウトを堅実に奪いながら、サーブと好守、シーズンを通して絶好調が続くベンタラのライト攻撃などでさらにリードを広げる。最後は、7点差をつけて引き寄せたマッチポイントで、ザビエルチェのサーブがエンドラインを越えゲームセット。ペルージャが欧州CL2連覇を達成すると同時に、今季4冠目を手中に収めて長いシーズンに幕を引いた。

 グループステージの4回戦から無敗を貫き、今季もCLを制したペルージャ。準決勝と決勝で揺るぎない強さを示したが、実は心配要素を抱えていた。開催地トリノへ出発する前日に、本拠地で行なわれた最終練習をジャンネッリが発熱により欠席。生命線である司令塔の体調回復が間に合ったことは、優勝の大きな要因と言えるだろう。そして、今季チームをけん引したのは何と言ってもOPベンタラ。イタリアリーグでコッパ戦を含む35試合すべてに出場し、アタック決定率は24試合で50%超えをマーク。そのうちの約6割の試合で決定率60パーセント以上を記録し、40パーセントに届かなかったのは1セットのみの出場だった1試合を除く2試合のみ。Final Fourではセット平均のアタックによる得点(6得点)で首位に立つなど、驚異的なパフォーマンスを続けてチームを4冠へと導いた。

 一方、昨季は自らの躍動でペルージャにCL初タイトルをもたらした石川。当時、出発直前に負傷した同ポジションのセメニウクは、母国ポーランドの会場で大活躍する背番号14と優勝の瞬間をベンチから見守るしかなかった。そして、今回は石川が故障の影響でリリーフサーバーでのポイント出場。アスリートは怪我という避けては通れない壁と常に直面していることを痛感させられた。

 なお、決勝に先立って行なわれた3位決定戦は、トルコリーグ1位のジラート バンク・アンカラが、ポーランドリーグ3位PGE プロジェクト・ワルシャワとの接戦をセットカウント3-2(20-25、25-23、13-25、25-23、15-11)で勝ち切りCLでクラブ初と同時にトルコリーグ46年ぶりとなるメダル(1979–80 エジャジュバシュ・イスタンブールが3位)を獲得した。
  また、このFinal Fourでは、コート上でハイレベルな攻防が繰り広げられた一方、フロア、2階、3階のすべてに空席が目立ったことで集客に関する論議が持ち上がっている。当初は3階に割り当てたペルージャのサポーター席を試合中継に映し出されるエンド側へ急きょ移動させ、3階席は僅かなエリアを残してカーテンで覆い空席を隠す苦肉の策が取られた。最大収容15,000人に対して初日の準決勝が3,461人、2日目の決勝は4,271人に留まりアリーナは閑散と言わざるを得ない風景だった。

 現地で原因とされているのがチケット価格。1日のみの観戦で35~155ユーロ(およそ6,5000~2万9,000円)、フロア席に至っては270ユーロ(およそ5万円)となかなかの額。加えて移動費を要する遠方や家族連れでの観戦には、負担が大きかった点を指摘している。

 また、大会期間中のトリノでは、読書人気の根強いイタリア人が全国から訪れる国内最大級の書籍見本市が開催されていたほか、セリエAの地元サッカークラブ、ユヴェントスのホームゲームも行なわれた。さらに同週末には、ローマで開催されていたテニスのトップツアー大会で世界ランク1位ヤニック・シナーが、母国選手として50年ぶりとなる優勝へ快進撃の最中だったことも今大会への興味減少の一因となったかもしれない。トリノ在住の複数知人らは大会のプロモーションを見聞きすることはなかったと話しており、地元との連携にも疑問が残る。試合や優勝セレモニーで観客の熱量を引き上げる演出のほか、会場内のセキュリティ対策なども筆者が現地取材で目にして感じたポーランドでの前大会と大きな違いがあったことは否定できない。

 欧州最高峰の大会はイタリア国内で2028年まで開催予定。ペルージャが3連覇を果たす時、超満員の会場で祝福の大歓声に包まれることを期待したいところだ。

 横断幕と祝杯のビールを用意したサポーターたちが、チームバスで地元へ帰還したペルージャの選手とスタッフを出迎えて今シーズンは終了。石川のペルージャ2シーズン目は金メダル4個の重みとともに幕を閉じた。

取材・文●佳子S.バディアーリ

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配信元: THE DIGEST

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