プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は長身を生かしたオールラウンドな攻撃が武器の吉岡希紗選手が登場。相手の打点をずらすスライスサービスについて教えてくれた。
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私は左利きなので、サービスは右利きの人とは違った回転を使えるぶん、スピードよりも嫌らしいボールを打つことを考えています。速い球だと、逆に左利きらしさが出ませんよね。スライスをかけて曲げたり、遅めのサービスで相手のミートを外したりといったことをよくします。
例えばスライスサービスをアドサイドでワイドに打てば、相手のバックになるし、コートの外に追い出せます。エースを狙うより、コースや回転で打ちづらくさせることを重視していますね。
デュースサイドでもセンターに打つし、あるいはボディに打てば回転が違うので詰まってくれたりもする。とにかく相手の打点をいつもとはずらすことが大事です。フォアは内に入り、バックは逃げていく左利きのスライスは、どこに打っても有効な球種だと思います。
この写真はデュースサイドからセンターを狙ったスライスサービスです。相手のバックに切れていくボールを打っていると思います。
スライスで技術的に気を付けているのは、打点が下がりすぎないようにすることです(連続写真7コマ目)。打点やスイングをフラットと変えてしまうと、相手に先にバレて対応されてしまいます。どちらの球種かわからないように、打点の位置は高いままにすることを心掛けていますね。
ではどう打ち分けるかというと、スイングを変えるのではなく、“ボールのどこを捉えるか”を変えています。フラットだったらボールの真後ろを叩く、スライスだったら少し横(左寄り)の後ろを叩くという具合です。
ラケットを外から入れてしまうと、やはり打点が下がりやすいので、打点は同じままボールを捉える場所をずらすのがポイントですね。そうすると相手に読まれません。
もう1つ意識しているのはフォロースルーの軌道です。ボールの少し左側を捉える際に面が斜めに入り、自然に外の方へラケットが抜けていきますが(8コマ目)、その後で身体の方に戻してきます(9コマ目)。外から内に大きめの円を描くようなイメージですね。
そうするとボールにキレが出て、よく曲がってくれます。この円が小さくなると、ネットが増えたり、当たりが薄くなるので良くありません。
【プロフィール】吉岡希紗/よしおかきさ
2000年9月2日、静岡県生まれ。171cm、左利き。早稲田大学出身。在学時にインカレ、ITFツアーのダブルスで優勝し、23年春に卒業とともにプロ転向。ネットも絡めたオールラウンドなテニスを武器にITFのダブルスで9勝を挙げ、今年はシングルスでもニュージーランドW35で初タイトルを獲得。日本ランク単30位台、複20位台と二刀流で活躍中。こみぞ眼科所属。
構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2025年3月号より再編集
【連続写真】相手の打点をずらす吉岡希紗のスライスサービス『30コマの超分解写真』
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